犬の手作りごはん

ビタミンC| 犬の手作りごはん栄養学

体の酸化を防ぐ抗酸化ビタミン水溶性。犬は腸内細菌でも合成可能です。抗ストレス作用も

体内でコラーゲンを合成する際にも必要です。

ビタミンCの働き

ビタミンCには様々な働きがあります。

犬もストレスを抱えがち。抗酸化ビタミンとして。

ビタミンCは抗ストレス作用で知られます。ストレスが多いほど体内での消費量も増えます。

犬のストレスとは?

  • 音(雷・風・工事の音など)
  • 運動不足
  • 適切でない食事
  • 苦手な人、犬
  • 苦手な場所(病院など)
  • 生活環境の急な変化
  • 体調の急激な変化

犬も生活の中でストレスを抱えます。

例えば引越しで生活環境が変わった、家族が増えた、減ったなど。

病院が苦手な犬は通院自体が大きなストレスにもなります。散歩途中で出会う苦手な犬、人などもストレス要因です。

雷、風の音などに敏感に反応する犬もいます。

何がストレスになるか?は犬の性格にもよるので、犬を十分に観察しストレスに配慮する必要があります。

コラーゲンの生成に必要

体を構成するタンパク質の一種コラーゲン体内で生成される際にビタミンCを必要とします。

ビタミンCが不足するとコラーゲンが生成されず、細胞同士の結合がゆるくなり出血が起こります。これを壊血病と呼びます。

壊血病はビタミンC発見のきっかけとなった病気で、現在は治療法も確立されています。

ビタミンCは強い抗酸化力を持つ

ビタミンCは高い抗酸化力を持ち、食品の酸化防止のためにも添加されます。

体内でも強い抗酸化力を発揮し、細胞老化の原因となる活性酸素から細胞を守ります。

不足すると

疲れやすくなり、感染症にかかりやすくなる。極端な不足は壊血病の原因となるが、野菜類を適度に摂取することで必要量は摂取できる。

過剰症

水溶性ビタミンにつき、過剰症の心配はありません。摂取後2〜3時間で排泄されます。

栄養素を最大限に引き出す調理にポイント

ビタミンCは保存中、調理中にどんどん失われる壊れやすいビタミンです。熱にも弱く壊れます。

生鮮食品はできるだけ早めに食べる、生で食べられるものは生で、加熱の場合も最小限の工夫を。

ジャガイモに含まれるビタミンCはデンプンに守られており熱に強い性質を持ちます。

野菜類の場合、収穫時期によってビタミンCの含有量は変わります。旬の時期に含有量もピークを迎えます。

多く含まれる食品

野菜、果物類に多く、ジャガイモ、サツマイモなどのイモ類にも多いです。

野菜類では赤ピーマンが高い含有量を誇ります。他にはブロッコリー、ジャガイモ、サツマイモに多く含まれます。

ビオチン| 犬の手作りごはん栄養学

エネルギー代謝をサポートし、皮膚と被毛の健康を守る水溶性ビタミン。

ビオチンは腸内細菌からも作られる

ビオチンはビタミンB群の一種です。ビタミンH、ビタミンB7などとも呼ばれます。

ドイツ語の皮膚(Haut)に名前の由来があり、皮膚の炎症予防に関与しているためこの名がつけられました。

タンパク質と合成した形で食品何には含まれています。様々な食品に含まれており、腸内細菌からも合成可能。通常の食生活では欠乏の心配はありません。

エネルギー代謝に関与

三大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)からエネルギーを取り出す際、ビオチンが関与しています。

特に糖質をエネルギーに変える際の補酵素として、重要な役割を担います。そのため、万一ビオチンが不足すると、糖質を効率よくエネルギーに変えることができなくなります。筋肉痛、体のだるさなどの原因となります。

皮膚、被毛を健康に保つ

犬の皮膚炎防止、脱毛防止、健康な爪の維持にも有効なビタミンです。

ビタミンA、B2、B6、ナイアシンと一緒に摂取するとさらに効果的です。

近年ではアトピー性皮膚炎の改善に期待が寄せられています。

不足すると

食欲不振、湿疹、皮膚炎、脱毛、疲労感など。

過剰症

水溶性ビタミンにつき、過剰症の心配はありません。余分は尿へ排泄されます。

多く含まれる食品

魚、レバー、豆類、卵、野菜など幅広い食品に含まれます。

魚ではイワシ。野菜ではほうれん草、果物ではバナナに多く含まれます。

パントテン酸(ビタミンB5)| 犬の手作りごはん栄養学

三大栄養素のエネルギー代謝、ストレスの緩和に大切な水溶性ビタミン。

パントテン酸は腸内細菌によって合成される

パントテン酸の由来はギリシャ語の「いたるところにある酸」です。様々な食品に含まれるため、このように呼ばれます。

また腸内細菌によっても合成されるため、欠乏症の心配はありません。

ただし、抗生物質の長期服用により腸内細菌が影響を受けて合成量が減る場合もあります。

エネルギー代謝を助ける

パントテン酸は三大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)からエネルギーを取り出す際必要な補酵素の材料となります。

そのため不足すると、代謝が制限されてしまいます。

抗ストレスビタミンとしての働き

ストレスを受けた際、副腎皮質から高ストレスホルモンが分泌されます。パントテン酸はこのホルモンの合成を促します。

他のビタミンB群とともに皮膚を守る

パントテン酸は他のビタミンB群と協力して、皮膚のバリア機能を高め、乾燥から守る働きもになっています。

免疫抗体の合成にも関与

体を病原体などの異物から守る抗体の合成に関与しています。

皮膚、粘膜の健康を守る働きも担っています。

不足すると?

通常の食生活で不足することはまずありません。

パントテン酸が不足した状態は、食事そのものが食べられなく、栄養失調に陥っているような場合が考えられます。

その場合は皮膚炎、脱毛、感染症にかかりやすくなる、食欲低下などの症状がみられます。

過剰症

水溶性ビタミンにつき、過剰症の心配はありません。余分は尿へ排泄されます。

栄養素を最大限に引き出す調理のポイント

パントテン酸は冷凍、加工の行程で分解されやすい特徴があります。

そのため、生鮮食品をシンプルな調理で食べることで効率よく摂取できます。

多く含まれる食品

様々な食品に含まれているため、通常の食生活では不足することはありません。

多く含まれるのはレバー類、納豆、鶏もも肉などです。

葉酸 | 犬の手作りごはん栄養学

造血、細胞の新生、増産に関わる水溶性ビタミン。

葉酸は造血に関与する

新しい赤血球を作る際、必要不可欠のビタミンです。

赤血球は一定のサイクルで入れ変わっていますが、葉酸は赤血球が新しく作られる際に大きく関わっています

胎児期や乳児期は葉酸を多く必要とする

細胞分裂が盛んに行われる胎児期、乳児期は葉酸が最も多く必要とされます。

葉酸はタンパク質合成、細胞新生に必須のビタミン。不足すると胎児や乳児に異常が現れる場合があります。妊娠期、授乳期の犬には必要量を満たす葉酸を摂取させましょう。

不足すると?

皮膚炎、肌荒れ、悪性貧血を起こします。

過剰症

水溶性につき、過剰症の心配はありません。余分は尿に排泄されます。

葉酸はビタミンB12と協力して働く

赤血球を作る過程で、葉酸とビタミンB12は協力して働きます。どちらが欠けても正常な赤血球を作ることができません。

ビタミンB12を含む食品も合わせて摂取することがポイントです。

栄養素を最大限に引き出す調理のコツ

光や熱に弱いビタミンです。野菜類は新鮮なうちに食べ切りましょう。水溶性ビタミンにつき、スープなど汁ごと食べる調理法がおすすめ。

多く含む食品

緑黄色野菜、果物に多く含まれます。

ほうれん草、ブロッコリー、いちご、レバー類など。

ビタミンB12(コバラミン) | 犬の手作りごはん栄養学

造血作用に関わる水溶性ビタミン。脳や神経の機能を正常に保つ働きも。

ビタミンB12は赤血球を作り出す

私たちの全身に酸素を運ぶのは赤血球の役割です。ビタミンB12は赤血球に含まれるヘモグロビンの合成を助けます。

この際、葉酸の存在も欠かせません。葉酸、ビタミンB12、いずれかが不足すると正常な赤血球を作ることができません。両者の不足は貧血の原因となります。

タンパク質の合成を助け、神経や脳を正常に保つ

ビタミンB12はタンパク質の合成を助け、傷ついた末梢神経の回復をサポートします。

不足すると?

造血作用の低下、貧血。

過剰症

水溶性ビタミンにつき、余分は尿へ排泄されます。過剰症の心配はありません。

栄養素を最大限に引き出す調理のポイント

ビタミンB12は光、空気によって酸化が進みます。食材は密封容器で保存し、新鮮なうちに食べ切りましょう。

動物性の食品に多く含まれますが、アレルギーなどでこれらの食品を食べる機会が少ないと欠乏症になる場合があります。

その際は納豆などで補給しましょう。

水溶性ビタミンにつき、煮汁ごと食べられる調理法がおすすめです。

多く含む食品

動物性の食品に多く含まれます。植物性の食品にはほとんど含まれていません。ただし、納豆には微量のビタミンB12が含まれています。

体内で必要な量はごくわずかですが、欠乏すると貧血を招きます。

アレルギーなどで動物性食品があまり摂取できない場合は、注意が必要です。

レバー類、さんまに多く含まれます。

ビタミンB6(ピリドキシン) | 犬の手作りごはん栄養学

タンパク質合成に重要な水溶性ビタミン。貧血、肌荒れの防止に。

皮膚炎を予防することから発見されたビタミン

健康な皮膚や被毛を作り、神経系を正常に保つビタミンです。

ビタミンB6はタンパク質合成に関与する

食品から摂取したタンパク質は、消化の過程でアミノ酸に分解され小腸より吸収されます。

その後、体内で必要に応じてタンパク質に合成されますが、この時補酵素としてビタミンB6の助けを必要とします。

犬の皮膚、被毛を健康的に保つためにタンパク質は必須です。

不足すると

貧血、皮膚や粘膜のトラブル。

過剰症

水溶性ビタミンにつき、余分は尿へ排泄されます。過剰症の心配はありません。

多く含む食材

牛レバー、カツオ、マグロ、鶏ささみ、さんま、バナナ、赤ピーマンなどに多く含まれます。

ナイアシン(ビタミンB3) | 犬の手作りごはん栄養学

水溶性ビタミンB群の一種。ニコチン酸、ニコチン酸アミドの総称

動物性、植物性の食品の多くに含まれています。魚のカツオに多く含まれます。

犬はアミノ酸のトリプトファンから合成可能です。エネルギー代謝に関与しています。

エネルギー代謝の補酵素として働く

ナイアシンは補酵素として働いています。糖質、脂質、タンパク質からエネルギーを取り出す過程で重要な役割を担っています。

不足すると

人の場合、皮膚炎、手足のしびれの症状があるペラグラという病気の原因となります。

犬の場合、腹部の皮膚に皮膚炎が起こる場合があります。

過剰症

人の場合はサプリメントなどで過剰摂取することで、皮膚が痒くなる場合があります。

栄養素を引き出す調理のポイント

ナイアシンは熱に強いビタミンです。ただし水溶性なので、煮物の場合は汁ごと食べるのがおすすめです

ビタミンB群(B1、B2、B6など)が不足していると、ナイアシンを体内で合成する力が低下します。ビタミンB群を含む食材と合わせて食べるのが効果的です。

魚介類、レバー類に豊富

ナイアシンはあらゆる食品に含まれていますが、特に魚介類レバー類に豊富です。

ナイアシンはアミノ酸の一種トリプトファンから合成可能です。トリプトファンは肉類、魚介類に多く含まれれいます。

カツオ、豚レバー、牛レバー、鯖、ぶり、鶏むね肉に多く含まれます。

犬におすすめごちそう魚「マグロ」【初心者むけ】

魚の王様「マグロ」は犬も大好き!

味も栄養素も優れたマグロは犬にも良い魚です。不飽和脂肪酸DHAの含有量は魚類でもトップクラス。

部位によって栄養素、カロリーが違います。

お刺身でもよし、煮てもよし。

この記事ではマグロの栄養価について解説します。

マグロの豊富な栄養素

タンパク質、脂質(DHA、EPA)、ナイアシン、タウリン、鉄ビタミンB1が豊富です。

豊富なDHA、EPA

マグロのDHA含有量は魚の中でもトップクラス。

不飽和脂肪酸DHA、EPAは血栓、動脈硬化予防で注目される成分です。

DHA、EPAについては下記の記事も参照してください。

マグロは良質のタンパク源

マグロのタンパク質はアミノ酸スコア100。犬の体内でも利用しやすいタンパク質です。

まぐろの血合いには鉄分が豊富

魚の血合いと呼ばれる部分は、見た目の色や味が他の部位と異なるため人の食用には向かないと廃棄されたり、ペットフードの原材料になったりもします。

実はこの血合い部分には「鉄分」が他の部位よりも多く含まれています。

栄養豊富な部分を見た目やわずかな味の違いで捨ててしまうのはもったいない。

是非、犬の手作りごはんでは血合い部分も積極的に利用したいものです。犬は血合い部分も喜んで食べます。

赤味部分はタウリン、ナイアシンが豊富

タウリンはアミノ酸の一種です。肝機能強化作用を持つと言われる成分です。

ナイアシンビタミンB3とも呼ばれます。糖質・脂質・タンパク質の代謝に必要不可欠な物質です。

目的別で部位を使い分けよう

マグロは部位によって、カロリー、栄養素が異なる魚です。

赤身とトロではカロリーが3倍違います。体重コントロールが必要な場合は、脂質が少なく低カロリーの赤味を。

トロには脂質が多く、その分不飽和脂肪酸のDHA、EPAが多く含まれます。

鉄分を積極的に摂りたい場合は血合いの利用がおすすめです。

お刺身でも、炊いても

犬にはマグロはお刺身でもOKです。

マグロが水揚げされるエリアでは、マグロのアラを手頃な価格で入手できます。これを利用して、大根などの野菜と炊き合わせても美味しいメニューになります。

まとめ

栄養価の高いマグロは犬にもおすすめの魚です。

部位によって含まれる栄養素が異なるので、目的に応じての使い分けがベスト。

マグロは生でも加熱でのどちらでもOK。

味付けなしタイプの水煮缶の利用もおすすめです。その際は、犬の体に良い不飽和脂肪酸が溶け出している煮汁も一緒に活用しましょう。

ビタミンB2 | 犬の手作りごはん栄養学

三大栄養素の代謝に必須の水溶性ビタミン。肌の健康を守るのにも欠かせない。

三大栄養素の代謝に必須

糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素は、全てエネルギーになります。その際、補酵素としてビタミンB2の助けを必要とします。

補酵素についてはこちらも参照。

特に脂質の代謝に重要

ビタミンB2は脂質の代謝と関わりが深い。脂質を多く食べた時に多く摂ることで、脂肪が燃えやすくなります。

運動量の多い犬はビタミンB2を必要とする

脂質は持久力のある運動=有酸素運動のエネルギー源になります。

犬にとっては散歩も有酸素運動です。

運動量、活動量の多い犬は多くのビタミンB2を必要とします。

ビタミンB2は細胞の新陳代謝を助ける

健康な皮膚、被毛、爪の維持に必須です。

不足すると?

皮膚や粘膜の健康が損なわれる。口内炎、肌荒れの原因に。

過剰症の心配はない

水溶性ビタミンにつき、余分は尿として排泄されます。

多く含む食品

牛乳から発見されたビタミンで、牛乳、乳製品に多い。

他には牛レバー鶏卵ぶりさんま納豆にも含まれる。

ビタミンB1 | 犬の手作りごはん栄養学

糖質の代謝に必須の水溶性ビタミン。糖質をエネルギーに変える際、消費されます。不足するとだるさの原因に。

犬も糖質をエネルギーに変えて利用できますが、ビタミンB1の助けが必須です。

糖質をエネルギーに変えるビタミン

ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える際、必須のビタミンです。

糖質を多くとると体内のビタミンB1がどんどん消費されます。

ビタミンB1が不足すると、糖質からエネルギーを生み出す代謝がうまくいかなくなり、効率よくエネルギーに変換できなくなります。

脳がメインで利用するエネルギーは糖質

脳や神経は糖質を主なエネルギーとして利用しています。

そのためビタミンB1が不足すると脳や神経の機能が低下します。

犬も糖質を利用できるの?

犬は肉食動物なので糖質は必要ないという、誤った情報も多くありますが犬は雑食動物です。

穀物食にもよく適応し、犬の膵臓から分泌されるアミラーゼにより糖質も問題なく消化できます。

犬の体を動かす大切なエネルギーである糖質を、効率よく利用するためにもビタミンB1は欠かせません。

糖質についてはこちらの記事も参考にしてください。

不足すると?

イライラ、倦怠感、体のだるさ、記憶力低下が起こります。

水溶性ビタミンは過剰症の心配なはい

ビタミンB1は水溶性。

多く摂取しても余分は尿へと排泄されます。

多く含む食品

豚肉、特に豚ヒレ肉の含有量はトップクラスです。

精製度の低い穀物にも豊富です。玄米や胚芽米、全粒粉のパスタ、ライ麦パンなどもビタミンB1を多く含みます。炒りごまにも。

汁ごと食べられる料理で効率よく摂取しよう

ビタミンB1は水溶性ビタミンです。茹でる調理法だと水に溶けて流れ出てしまいます。

熱にも弱いので、調理の際はできるだけ加熱時間を短く、汁ごと食べられる料理がおすすめです。