犬の手作りごはん 栄養

ビオチン| 犬の手作りごはん栄養学

エネルギー代謝をサポートし、皮膚と被毛の健康を守る水溶性ビタミン。

ビオチンは腸内細菌からも作られる

ビオチンはビタミンB群の一種です。ビタミンH、ビタミンB7などとも呼ばれます。

ドイツ語の皮膚(Haut)に名前の由来があり、皮膚の炎症予防に関与しているためこの名がつけられました。

タンパク質と合成した形で食品何には含まれています。様々な食品に含まれており、腸内細菌からも合成可能。通常の食生活では欠乏の心配はありません。

エネルギー代謝に関与

三大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)からエネルギーを取り出す際、ビオチンが関与しています。

特に糖質をエネルギーに変える際の補酵素として、重要な役割を担います。そのため、万一ビオチンが不足すると、糖質を効率よくエネルギーに変えることができなくなります。筋肉痛、体のだるさなどの原因となります。

皮膚、被毛を健康に保つ

犬の皮膚炎防止、脱毛防止、健康な爪の維持にも有効なビタミンです。

ビタミンA、B2、B6、ナイアシンと一緒に摂取するとさらに効果的です。

近年ではアトピー性皮膚炎の改善に期待が寄せられています。

不足すると

食欲不振、湿疹、皮膚炎、脱毛、疲労感など。

過剰症

水溶性ビタミンにつき、過剰症の心配はありません。余分は尿へ排泄されます。

多く含まれる食品

魚、レバー、豆類、卵、野菜など幅広い食品に含まれます。

魚ではイワシ。野菜ではほうれん草、果物ではバナナに多く含まれます。

パントテン酸(ビタミンB5)| 犬の手作りごはん栄養学

三大栄養素のエネルギー代謝、ストレスの緩和に大切な水溶性ビタミン。

パントテン酸は腸内細菌によって合成される

パントテン酸の由来はギリシャ語の「いたるところにある酸」です。様々な食品に含まれるため、このように呼ばれます。

また腸内細菌によっても合成されるため、欠乏症の心配はありません。

ただし、抗生物質の長期服用により腸内細菌が影響を受けて合成量が減る場合もあります。

エネルギー代謝を助ける

パントテン酸は三大栄養素(糖質、脂質、タンパク質)からエネルギーを取り出す際必要な補酵素の材料となります。

そのため不足すると、代謝が制限されてしまいます。

抗ストレスビタミンとしての働き

ストレスを受けた際、副腎皮質から高ストレスホルモンが分泌されます。パントテン酸はこのホルモンの合成を促します。

他のビタミンB群とともに皮膚を守る

パントテン酸は他のビタミンB群と協力して、皮膚のバリア機能を高め、乾燥から守る働きもになっています。

免疫抗体の合成にも関与

体を病原体などの異物から守る抗体の合成に関与しています。

皮膚、粘膜の健康を守る働きも担っています。

不足すると?

通常の食生活で不足することはまずありません。

パントテン酸が不足した状態は、食事そのものが食べられなく、栄養失調に陥っているような場合が考えられます。

その場合は皮膚炎、脱毛、感染症にかかりやすくなる、食欲低下などの症状がみられます。

過剰症

水溶性ビタミンにつき、過剰症の心配はありません。余分は尿へ排泄されます。

栄養素を最大限に引き出す調理のポイント

パントテン酸は冷凍、加工の行程で分解されやすい特徴があります。

そのため、生鮮食品をシンプルな調理で食べることで効率よく摂取できます。

多く含まれる食品

様々な食品に含まれているため、通常の食生活では不足することはありません。

多く含まれるのはレバー類、納豆、鶏もも肉などです。

葉酸 | 犬の手作りごはん栄養学

造血、細胞の新生、増産に関わる水溶性ビタミン。

葉酸は造血に関与する

新しい赤血球を作る際、必要不可欠のビタミンです。

赤血球は一定のサイクルで入れ変わっていますが、葉酸は赤血球が新しく作られる際に大きく関わっています

胎児期や乳児期は葉酸を多く必要とする

細胞分裂が盛んに行われる胎児期、乳児期は葉酸が最も多く必要とされます。

葉酸はタンパク質合成、細胞新生に必須のビタミン。不足すると胎児や乳児に異常が現れる場合があります。妊娠期、授乳期の犬には必要量を満たす葉酸を摂取させましょう。

不足すると?

皮膚炎、肌荒れ、悪性貧血を起こします。

過剰症

水溶性につき、過剰症の心配はありません。余分は尿に排泄されます。

葉酸はビタミンB12と協力して働く

赤血球を作る過程で、葉酸とビタミンB12は協力して働きます。どちらが欠けても正常な赤血球を作ることができません。

ビタミンB12を含む食品も合わせて摂取することがポイントです。

栄養素を最大限に引き出す調理のコツ

光や熱に弱いビタミンです。野菜類は新鮮なうちに食べ切りましょう。水溶性ビタミンにつき、スープなど汁ごと食べる調理法がおすすめ。

多く含む食品

緑黄色野菜、果物に多く含まれます。

ほうれん草、ブロッコリー、いちご、レバー類など。

ビタミンB12(コバラミン) | 犬の手作りごはん栄養学

造血作用に関わる水溶性ビタミン。脳や神経の機能を正常に保つ働きも。

ビタミンB12は赤血球を作り出す

私たちの全身に酸素を運ぶのは赤血球の役割です。ビタミンB12は赤血球に含まれるヘモグロビンの合成を助けます。

この際、葉酸の存在も欠かせません。葉酸、ビタミンB12、いずれかが不足すると正常な赤血球を作ることができません。両者の不足は貧血の原因となります。

タンパク質の合成を助け、神経や脳を正常に保つ

ビタミンB12はタンパク質の合成を助け、傷ついた末梢神経の回復をサポートします。

不足すると?

造血作用の低下、貧血。

過剰症

水溶性ビタミンにつき、余分は尿へ排泄されます。過剰症の心配はありません。

栄養素を最大限に引き出す調理のポイント

ビタミンB12は光、空気によって酸化が進みます。食材は密封容器で保存し、新鮮なうちに食べ切りましょう。

動物性の食品に多く含まれますが、アレルギーなどでこれらの食品を食べる機会が少ないと欠乏症になる場合があります。

その際は納豆などで補給しましょう。

水溶性ビタミンにつき、煮汁ごと食べられる調理法がおすすめです。

多く含む食品

動物性の食品に多く含まれます。植物性の食品にはほとんど含まれていません。ただし、納豆には微量のビタミンB12が含まれています。

体内で必要な量はごくわずかですが、欠乏すると貧血を招きます。

アレルギーなどで動物性食品があまり摂取できない場合は、注意が必要です。

レバー類、さんまに多く含まれます。

ビタミンB6(ピリドキシン) | 犬の手作りごはん栄養学

タンパク質合成に重要な水溶性ビタミン。貧血、肌荒れの防止に。

皮膚炎を予防することから発見されたビタミン

健康な皮膚や被毛を作り、神経系を正常に保つビタミンです。

ビタミンB6はタンパク質合成に関与する

食品から摂取したタンパク質は、消化の過程でアミノ酸に分解され小腸より吸収されます。

その後、体内で必要に応じてタンパク質に合成されますが、この時補酵素としてビタミンB6の助けを必要とします。

犬の皮膚、被毛を健康的に保つためにタンパク質は必須です。

不足すると

貧血、皮膚や粘膜のトラブル。

過剰症

水溶性ビタミンにつき、余分は尿へ排泄されます。過剰症の心配はありません。

多く含む食材

牛レバー、カツオ、マグロ、鶏ささみ、さんま、バナナ、赤ピーマンなどに多く含まれます。

ナイアシン(ビタミンB3) | 犬の手作りごはん栄養学

水溶性ビタミンB群の一種。ニコチン酸、ニコチン酸アミドの総称

動物性、植物性の食品の多くに含まれています。魚のカツオに多く含まれます。

犬はアミノ酸のトリプトファンから合成可能です。エネルギー代謝に関与しています。

エネルギー代謝の補酵素として働く

ナイアシンは補酵素として働いています。糖質、脂質、タンパク質からエネルギーを取り出す過程で重要な役割を担っています。

不足すると

人の場合、皮膚炎、手足のしびれの症状があるペラグラという病気の原因となります。

犬の場合、腹部の皮膚に皮膚炎が起こる場合があります。

過剰症

人の場合はサプリメントなどで過剰摂取することで、皮膚が痒くなる場合があります。

栄養素を引き出す調理のポイント

ナイアシンは熱に強いビタミンです。ただし水溶性なので、煮物の場合は汁ごと食べるのがおすすめです

ビタミンB群(B1、B2、B6など)が不足していると、ナイアシンを体内で合成する力が低下します。ビタミンB群を含む食材と合わせて食べるのが効果的です。

魚介類、レバー類に豊富

ナイアシンはあらゆる食品に含まれていますが、特に魚介類レバー類に豊富です。

ナイアシンはアミノ酸の一種トリプトファンから合成可能です。トリプトファンは肉類、魚介類に多く含まれれいます。

カツオ、豚レバー、牛レバー、鯖、ぶり、鶏むね肉に多く含まれます。

ビタミンB2 | 犬の手作りごはん栄養学

三大栄養素の代謝に必須の水溶性ビタミン。肌の健康を守るのにも欠かせない。

三大栄養素の代謝に必須

糖質、脂質、タンパク質の三大栄養素は、全てエネルギーになります。その際、補酵素としてビタミンB2の助けを必要とします。

補酵素についてはこちらも参照。

特に脂質の代謝に重要

ビタミンB2は脂質の代謝と関わりが深い。脂質を多く食べた時に多く摂ることで、脂肪が燃えやすくなります。

運動量の多い犬はビタミンB2を必要とする

脂質は持久力のある運動=有酸素運動のエネルギー源になります。

犬にとっては散歩も有酸素運動です。

運動量、活動量の多い犬は多くのビタミンB2を必要とします。

ビタミンB2は細胞の新陳代謝を助ける

健康な皮膚、被毛、爪の維持に必須です。

不足すると?

皮膚や粘膜の健康が損なわれる。口内炎、肌荒れの原因に。

過剰症の心配はない

水溶性ビタミンにつき、余分は尿として排泄されます。

多く含む食品

牛乳から発見されたビタミンで、牛乳、乳製品に多い。

他には牛レバー鶏卵ぶりさんま納豆にも含まれる。

ビタミンB1 | 犬の手作りごはん栄養学

糖質の代謝に必須の水溶性ビタミン。糖質をエネルギーに変える際、消費されます。不足するとだるさの原因に。

犬も糖質をエネルギーに変えて利用できますが、ビタミンB1の助けが必須です。

糖質をエネルギーに変えるビタミン

ビタミンB1は糖質をエネルギーに変える際、必須のビタミンです。

糖質を多くとると体内のビタミンB1がどんどん消費されます。

ビタミンB1が不足すると、糖質からエネルギーを生み出す代謝がうまくいかなくなり、効率よくエネルギーに変換できなくなります。

脳がメインで利用するエネルギーは糖質

脳や神経は糖質を主なエネルギーとして利用しています。

そのためビタミンB1が不足すると脳や神経の機能が低下します。

犬も糖質を利用できるの?

犬は肉食動物なので糖質は必要ないという、誤った情報も多くありますが犬は雑食動物です。

穀物食にもよく適応し、犬の膵臓から分泌されるアミラーゼにより糖質も問題なく消化できます。

犬の体を動かす大切なエネルギーである糖質を、効率よく利用するためにもビタミンB1は欠かせません。

糖質についてはこちらの記事も参考にしてください。

不足すると?

イライラ、倦怠感、体のだるさ、記憶力低下が起こります。

水溶性ビタミンは過剰症の心配なはい

ビタミンB1は水溶性。

多く摂取しても余分は尿へと排泄されます。

多く含む食品

豚肉、特に豚ヒレ肉の含有量はトップクラスです。

精製度の低い穀物にも豊富です。玄米や胚芽米、全粒粉のパスタ、ライ麦パンなどもビタミンB1を多く含みます。炒りごまにも。

汁ごと食べられる料理で効率よく摂取しよう

ビタミンB1は水溶性ビタミンです。茹でる調理法だと水に溶けて流れ出てしまいます。

熱にも弱いので、調理の際はできるだけ加熱時間を短く、汁ごと食べられる料理がおすすめです。

ビタミンK | 犬の手作りごはん栄養学

出血を止める脂溶性ビタミン骨を丈夫にする働きを持つ。

犬の腸内細菌もビタミンKを作り出すことができるが、1日の要求量に満たない場合もある。食品からも摂取することが望ましい。

2種類のビタミンK

植物に含まれるビタミンK1、腸内細菌によって合成されるビタミンK2があります。

血液の凝固と止血をコントロールする

血液を固め、かさぶたを作る際ビタミンKが必要です。

一方で血管内で血液が固まるのを防ぐ役割も担っています。

骨を作るプロセスでも活躍

カルシウムが骨に沈着するために必要な物質をビタミンKは活性化します。

ビタミンKが不足すると骨がもろくなります。

特に成長期には重要なビタミンです。

不足すると

出血が止まりにくい、骨がもろくなる。

過剰症は報告されていない

ビタミンKで過剰症は報告されていません。

ただし、血栓症、血液凝固剤を服用時はビタミンK摂取量が制限されます。詳しくはかかりつけの獣医師にご相談ください。

多く含む食品

緑黄色野菜、海藻、納豆に多く含まれます。野菜ではほうれん草に多く含まれます。

ビタミン全般についてはこちらもご参考に。

ビタミンE | 犬の手作りごはん栄養学

過酸化脂質の生成を抑え、細胞の老化を防ぐ働きで注目される。血行促進作用があり、体の冷えを改善する脂溶性ビタミン

強力な抗酸化作用を持つ

ビタミンE強力な抗酸化作用を持つため、食品添加物として食品の酸化防止目的でも使用されます。

酸化防止剤として点火されているビタミンEは時間の経過とともに減っていきます。

そのため食品に含まれる酸化防止剤としてのビタミンEを、体内へのビタミンE供給源として捉えることはできません。

あくまでも食事から摂取することが大切です。

ビタミンEは体内に臓器、組織にも多く分布しています。

ビタミンA、Cと同時摂取すると相乗効果で抗酸化力アップ

同じく抗酸化作用を持つビタミンA、Cと同時摂取すると抗酸化力がアップします。

この3つをまとめてビタミンACE(エース)と呼ぶこともあります。

細胞膜の酸化を防止

細胞を包む細胞膜はリン脂質でできていますが、これは参加しやすい性質を持ちます。リン脂質が参加すると過酸化脂質が作られ、これが過剰になると細胞の老化に繋がると考えられています

ビタミン Eには細胞膜の酸化を防ぐ働きがあります。

血行促進

ビタミンEは抹消血管を拡張し、血行を促す働きを持ちます。

不足すると

細胞、血管の老化、生活習慣病のリスク拡大。

過剰症

過剰症の心配は、ほぼないと考えられています。

多く含む食品

ビタミンE植物オイルに多く含まれます。特にひまわり油、アーモンドオイル、サフラワーオイル、コーン油に多く含まれます。

かぼちゃにも多く含まれます。

ビタミンについての基本情報を知りたい場合はこちらの記事も参考に。