犬の手作りごはん 栄養

亜鉛 | 犬の手作りごはん栄養学

皮膚の健康維持に欠かせないミネラル。酵素の構成成分、細胞の形成に重要な働き。

全身の組織に広く分布

亜鉛は全身の組織に広く分布します。特に被毛、皮膚に多く含まれています。亜鉛が欠乏すると皮膚の異常や皮膚炎が起こります。

酵素の成分になる

亜鉛は200以上の酵素の成分として、タンパク質合成に特に深く関わっています。細胞の新陳代謝にも重要な役割を担っています。

多く含まれる食品

魚介類、肉、海藻類、豆類に豊富。特に牡蠣に含まれる亜鉛含有量は100g中13.2mgと際立ってい多いです。

牡蠣を犬に与える際は、加熱の上、消化しやすいよう小さく刻む、すりつぶすのがおすすめです。

塩素 | 犬の手作りごはん栄養学

主に食塩の形で摂取されるミネラル。胃液の成分になります。

胃酸は塩素から作られる

胃液中の塩酸は塩素から作られます。胃液は強い賛成で食物の中の雑菌を殺す働きを担います。

また塩素はタンパク質消化酵素を活性化して、タンパク質の消化を促します。

食塩を含む食品から自然に摂取できる

犬の手作りごはんは基本的に味付けをしません。それでも魚介類や肉といった生鮮食品には食塩が一定量含まれています。

犬も生きて行くためには体が適度な塩分を必要とします。

生鮮食品から自然な形で塩分を摂取することで、塩素も必要量を摂取できます。

硫黄 | 犬の手作りごはん栄養学

硫黄はタンパク質の構成成分アミノ酸に含まれます。タンパク質を十分に摂取することで必要量をまかなえます。

健康的な皮膚、爪、被毛に欠かせないミネラルです。

犬の健康な皮膚、爪、被毛に欠かせない成分

硫黄はシスチンというアミノ酸の成分として、骨や皮膚、爪、被毛に多く分布します。健康な被毛は皮膚の維持には欠かせない成分です。

タンパク質に含まれるため、食事からしっかりタンパク質を摂取することが必要です。

肉、魚、大豆製品を偏りなく食べていれば不足することはありません。

多く含まれる食品

魚介類、肉類、卵、乳製品、大豆製品などタンパク質を多く含む食品から硫黄を摂取できます。

鉄 | 犬の手作りごはん栄養学

全身の細胞に酸素を運ぶヘモグロビンの材料となる。食材によって吸収率が変わります。

全身の細胞組織に酸素を供給

体に存在するのうち、約70%は赤血球の成分ヘモグロビン、筋肉中に存在するミオグロビンの構成成分になります。

残り約30%は肝臓、骨髄、脾臓などに蓄えられます。

鉄は吸収されにくいミネラル

鉄は体に吸収されないミネラルである上に、体内に鉄のストックがあると必要以上に吸収されない仕組みになっています。

そのため不足することはあっても過剰になることはありません。

ヘム鉄と非ヘム鉄

植物性食品に含まれる非ヘム鉄は、動物性の食品に含まれりヘム鉄と比べると吸収率が低いです。ビタミンCと一緒に摂取すると吸収率が上がります。

逆に食物繊維、ポリフェノール、カルシウムは鉄を吸着し、吸収を阻害します。これらの過度の摂取に注意が必要です。

多く含む食品

レバー類、カツオなどの魚介類、大豆製品、小松菜、ほうれん草などに豊富です。

マグネシウム | 犬の手作りごはん栄養学

体内の多くの酵素の働きに関わるミネラル。骨の成分としても重要。

酵素の活性化を助けるマグネシウム

体内では多くの酵素が働いています。これらの酵素はエネルギーの生成、タンパク質の合成、糖質の代謝などに関わりますが、その中でもマグネシウムの関与が重要です。

体内のミネラルバランスを調整

マグネシウムは全身の細胞内に含まれています。体内のミネラルバランスを整え、血圧、体温維持のメカニズムにも関わっています。

骨の成分としても重要

マグネシウムの半分以上が骨に貯蔵されています。丈夫な骨や歯を作る上で欠かせない成分です。

不足すると

不整脈、血圧上昇、心疾患のリスク。精神の不安定。

過剰症

過剰分は尿として排泄されるので、通常の食生活で過剰症の心配はありません。

サプリメントの誤食などで高マグネシウム血症になった場合、吐き気、下痢などが起こります。

多く含む食材

魚介類、ゴマ、大豆に豊富。未精製の穀物、精白度の低い穀物に多く含まれます。玄米、そば、全粒粉、ライ麦パンなど。

白米、精製された小麦粉にはほとんど含まれません。

ナトリウム | 犬の手作りごはん栄養学

ナトリウムカリウムと一緒に体内の水分量を調整する。犬も生きていく上で塩分は必要です。

ナトリウムは犬に必要なミネラル

犬に塩分は不要!という誤った理解がされることがあります。犬にも塩分は必要です。

塩分はナトリウムと塩素が結合したもの。ナトリウム塩と呼ばれます。犬の体の中にも塩分は存在しており、体内の水分調整を担っています。

犬の手作りごはんでは過剰摂取の心配はない

ナトリウムは魚介類に多く含まれます。肉類にも含まれるため、生鮮食品でこれらを摂取していれば、犬も自然にナトリウムを摂取していることになります。

犬の塩分要求量は人間ほど多くはありませんが、やはり生きていくためには必要です。

味付けなしの手作りごはんの場合、塩分が過剰になることはありません。むしろ低塩分なため、犬の1日の要求量を満たしていないのでは?という指摘もあります。

手作りごはん初心者の方が犬のご飯に味付けをする必要はありません。一方で、魚介類なども上手に取り入れて、犬が必要とする塩分を十分摂取出来る配慮も必要です。

多く含まれる食品

魚介類に多く含まれています。鮭、サバ、イワシなど犬の手作りごはんに使える魚をメニューに組み込むのがおすすめです。

カリウム | 犬の手作りごはん栄養学

過剰なナトリウムを排泄し、体内のpHバランスを維持する。

過剰な塩分を排泄し、高血圧を防ぐ

カリウムナトリウムと共に体液の構成成分として働きます。カリウムとナトリウムのバランスで、細胞の浸透圧とpHが正常に維持されます。

カリウムには体内の余分な塩分を排泄する働きもあります。これにより血圧上昇を防ぎ、高血圧の予防になります。

不足すると

血雨圧が高くなる。筋肉へのエネルギー補給が不足する。

過剰症

過剰摂取分は尿へと排泄されます。通常の食生活でカリウムの過剰症になる心配はありません。

栄養素を最大限に引き出す調理のコツ

カリウムは調理による損失が大きい栄養素です。

野菜、果物で生食可能な場合はで食べる方が、効率よく摂取できます。

煮ると約30%が消失します。スープにして汁ごと食べる調理がおすすめです。

多く含まれる食材

カリウムは新鮮な野菜、イモ類、果物類に多く含まれます。植物性の食材に多いミネラルです。

リン | 犬の手作りごはん栄養学

リンはカルシウムと並んで、骨と歯を作る重要な成分。エネルギー代謝にも関与する。

リンは体内で2つの大きな役割を担う

リンカルシウムについで多く体内に含まれるミネラルです。約85%がカルシウムと結合し、骨や歯を形成します。

約15%の多くはタンパク質と結合しリン脂質として細胞膜の材料になる、核酸の成分になるなどしています。

リンの摂取はバランスが大事

リンはカルシウムと一緒に骨や歯を作っています。リンとカルシウムのを同程度に取ることで、カルシウムの吸収率が最適になり、骨を丈夫にすると言われています。

リンはエネルギーを生み出すのに大切な成分

犬も人間も、体内でエネルギーを生み出す手段として「ATP(アデノシン三リン酸)」という物質を利用しています。

これはアデノシンという物質にリン酸が3つ結合したものです。これが分解され、リン酸結合が外れる際、高いエネルギーを生み出します。

ATPは生物にとってはエネルギーの通貨のようなもの。ATPのおかげで私たちは効率よくエネルギーを貯蔵し、必要に応じて利用できます。

リンはそのATPの構成物質となる大切なものです。

不足すると

歯や骨が脆くなる。エネルギー不足になる

過剰症

腎機能低下。カルシウムが骨から血液中に放出され、骨量の減少につながる可能性がある。

人間の場合、加工食品でリンを多く取りすぎる傾向が指摘されますが、犬の場合は加工食品を食べるわけではありません。生鮮食品から作る手作りごはんではリンの過剰摂取の心配はありません。

多く含む食材

魚介類、肉類、乳製品、豆製品など幅広い食材に含まれます。

特に乳製品に含まれるリンはカルシウムとのバランスが良いとされています。

100gあたりの比較では「煮干し」に多くのリンが含まれます(1,500mg)。犬用のおやつとして煮干しが売られている場合もあります。こうした製品の利用もおすすめです。

カルシウム| 犬の手作りごはん栄養学

丈夫なを作るミネラル。筋肉、神経の働きを助けます。吸収率があまり高くないことでも知られます。

犬は人よりカルシウムの要求量が高く、体重1kgあたりの比較で人の24倍必要です。

カルシウムについて理解し、手作りごはんでは効率よく摂取する必要があります。

骨はカルシウムの貯蔵庫

カルシウム=骨、というイメージが強いですが、カルシウムは骨を作る以外にも、細胞間の情報伝達に使われるなど様々な役割を担っています。

骨は体を支える役割以外に、神経伝達物質のように体で使われるカルシウムの貯蔵庫としての役割も担っています。

体内でカルシウムが不足すると、骨のカルシウムが溶け出し使われます。

カルシウムの約99%が骨と歯に存在しています。

骨は代謝している

骨は皮膚と同じように代謝を繰り返し、古くなった骨は壊され、新しい骨が作られることで入れ替わっています。

この活発な骨代謝を支えるために、適度なカルシウムを食事の中から摂取することが必要です。

カルシウムは神経伝達・筋肉収縮・血液凝固を支える

骨以外のカルシウムは主に血液中に溶け込んでいます。

神経の興奮を抑える、筋肉収縮、血液凝固にも関わり体内の多様な生理・代謝を支えています。

不足すると

犬の成長期にカルシウムが不足すると骨や歯の形成障害が起こります。慢性的な不足は骨をもろくします

過剰症

通常の食事で過剰になる心配はありません。サプリメントの誤食などで大量に摂取した場合、高カルシウム血症を起こし嘔吐、下痢などが起こります。

栄養素を最大限に引き出す調理のポイント

カルシウムは食品ごとに吸収率が異なります牛乳、乳製品での吸収率が高く約40〜50%(人の場合)、次が小魚、青菜類は低く人間で約18%です。

乳製品からの摂取がもっとも効率が良く、ビタミンDと一緒に摂取することで、腸管内のカルシウム吸収率が上がります

多く含む食材

干しエビ、煮干し、乳製品、高野豆腐、プロセスチーズ、牛乳に多く含まれます。

イワシは丸ごと煮ると良いカルシウム源になる

丸ごと食べられる小魚の中でも、骨まで柔らく煮たイワシは特にオススメです。ビタミンD含有量が高く、カルシウムの吸収率を高めてくれます。

ビタミンC| 犬の手作りごはん栄養学

体の酸化を防ぐ抗酸化ビタミン水溶性。犬は腸内細菌でも合成可能です。抗ストレス作用も

体内でコラーゲンを合成する際にも必要です。

ビタミンCの働き

ビタミンCには様々な働きがあります。

犬もストレスを抱えがち。抗酸化ビタミンとして。

ビタミンCは抗ストレス作用で知られます。ストレスが多いほど体内での消費量も増えます。

犬のストレスとは?

  • 音(雷・風・工事の音など)
  • 運動不足
  • 適切でない食事
  • 苦手な人、犬
  • 苦手な場所(病院など)
  • 生活環境の急な変化
  • 体調の急激な変化

犬も生活の中でストレスを抱えます。

例えば引越しで生活環境が変わった、家族が増えた、減ったなど。

病院が苦手な犬は通院自体が大きなストレスにもなります。散歩途中で出会う苦手な犬、人などもストレス要因です。

雷、風の音などに敏感に反応する犬もいます。

何がストレスになるか?は犬の性格にもよるので、犬を十分に観察しストレスに配慮する必要があります。

コラーゲンの生成に必要

体を構成するタンパク質の一種コラーゲン体内で生成される際にビタミンCを必要とします。

ビタミンCが不足するとコラーゲンが生成されず、細胞同士の結合がゆるくなり出血が起こります。これを壊血病と呼びます。

壊血病はビタミンC発見のきっかけとなった病気で、現在は治療法も確立されています。

ビタミンCは強い抗酸化力を持つ

ビタミンCは高い抗酸化力を持ち、食品の酸化防止のためにも添加されます。

体内でも強い抗酸化力を発揮し、細胞老化の原因となる活性酸素から細胞を守ります。

不足すると

疲れやすくなり、感染症にかかりやすくなる。極端な不足は壊血病の原因となるが、野菜類を適度に摂取することで必要量は摂取できる。

過剰症

水溶性ビタミンにつき、過剰症の心配はありません。摂取後2〜3時間で排泄されます。

栄養素を最大限に引き出す調理にポイント

ビタミンCは保存中、調理中にどんどん失われる壊れやすいビタミンです。熱にも弱く壊れます。

生鮮食品はできるだけ早めに食べる、生で食べられるものは生で、加熱の場合も最小限の工夫を。

ジャガイモに含まれるビタミンCはデンプンに守られており熱に強い性質を持ちます。

野菜類の場合、収穫時期によってビタミンCの含有量は変わります。旬の時期に含有量もピークを迎えます。

多く含まれる食品

野菜、果物類に多く、ジャガイモ、サツマイモなどのイモ類にも多いです。

野菜類では赤ピーマンが高い含有量を誇ります。他にはブロッコリー、ジャガイモ、サツマイモに多く含まれます。