犬に牛乳を与えてもいいですか?タンパク源・カルシウム源として優秀!おすすめですと言う話をするよ【初心者向け】

犬に牛乳を与えてもいいのでしょうか?という疑問について解説します。

この記事では「牛乳を与えて良いケース・ダメなケース」「牛乳の栄養学的3つのメリット」を解説します。この記事を読むことであなたは犬の手作り食にどう牛乳を活用したらいいか?がわかります。

牛乳は犬にいいの?お腹を壊さないならOK!

犬に牛乳をあげるとお腹を壊すのでは?

人でも牛乳を飲むと腹痛を起こす人がいますよね。でも全ての人がお腹を壊すわけではありません。犬も同じです。牛乳を飲ませて下痢になる犬もいれば、全然平気な犬もいる。

牛乳の場合「犬には」と大きな主語で考えないことです。大丈夫な犬と、そうでない犬がいる。大事なポイントなので、ぜひここで理解してください。

体質的に牛乳が合わない「乳糖不耐症」

牛乳には「乳糖」が含まれます。これを分解する消化酵素(ラクターゼ)の不足により、下痢、腹痛、おなら、腹部の不快感を訴える。これが「乳糖不耐症」です。

人も犬も哺乳類。生まれてすぐは母乳で育ちます。その時はみんな、ちゃんと乳糖を消化する酵素を出しています。授乳期がすぎ、離乳するとこの酵素の分泌が減り「乳糖不耐症」になるケースがあります。

これは体質です。なのでこの場合、無理して牛乳を飲む必要は全くありません。牛乳はタンパク源、カルシウム源として優秀ですが(後述)、牛乳以外の食品からも十分摂取できます。

乳糖不耐症」の犬がいる一方で、全く平気な犬もいます。全ての犬が牛乳を飲めないわけではないことを、ここでは理解しましょう

牛乳アレルギーの場合は、当然だが飲まない方が良い。

牛乳にアレルギーがある場合は、当然ですが飲まない方が良いですね。乳糖不耐症とアレルギーは、混同される場合もありますが全く別物です。

牛乳の栄養学的メリット3つ。

牛乳は栄養価の高い食品です。そのメリットを3つ解説します。

1:優秀なタンパク源

牛乳はタンパク質を多く含みます。牛乳のタンパク質の8割は「カゼイン」です。「カゼイン」は体内で「カルシウム」の吸収を促進します。

2:貴重なカルシウム源

犬は人よりもカルシウム要求量の多い動物です。食品からしっかり摂取させる必要があります。

カルシウムは吸収率が悪いミネラルでもあります。牛乳に含まれるタンパク質「カゼイン」はカルシウムの吸収率をあげる効果があります。このため牛乳は効率の良いカルシウム源と言えるでしょう。

3:脂質・糖質・タンパク質:三大栄養素をエネルギーに変えるビタミンB2を含む

食物をエネルギーに変えるのに、ビタミンの助けが欠かせません。ビタミンB2は糖質・脂質・タンパク質をエネルギーに変えるのに必要なビタミンです。特に脂質の代謝と関わりが深く、脂肪燃焼には必須

ビタミンB2はもともと牛乳から発見されたビタミンです。細胞の新陳代謝を助け、健康な皮膚、被毛を作るのに必須です

結論:犬にとっても牛乳は貴重な栄養源。

カルシウムが豊富で吸収率も高い牛乳は、犬にとってもメリットが多い食品です

ただし栄養価が高い分、脂質も多く含みます。体重コントロールが必要な犬の場合、低脂肪乳を利用するのがお勧めです。

栄養について学びたい方はこちらの記事もどうぞ→犬の手作りごはんの栄養、最低限押さえておきたい5種類の栄養素【初心者向け】

犬に生肉を与えてもいいですか?与えるべき?その前に!生肉潜むリスクをちゃんと知っていますか?【初心者向け】

犬の手作りごはんの中の「生食」というジャンル。これは文字通り犬に生の肉を加熱調理せず、そのまま与えることを指します。

ネット上の多くの記事で「犬には生食が良い」という体験談を読むことができます。一方で「犬に肉を生のまま与えることは食中毒の危険があり、おすすめではない」という正反対の見解も。

結局のところどうなのでしょうか。この記事では「生食」について「栄養学的メリットはあるのか」「感染症(人獣共通感染症:ズーノーシス)の危険性は?」「薬剤耐性菌の問題」という3つの視点で客観的に解説していきます。

結論から先に言えば、筆者は感染症のリスクを冒してまで、生肉を犬に与えることのメリットを見出せませんなのでオススメではありません。加熱することに大きな栄養学的デメリットも特に見出せない。

今、生食ってどうなんだろう?と検討中のあなたは、この記事を読むことで「生肉についての栄養学的理解」「生肉を犬に与えるリスク」について客観的な知識を得られます。リスクを知った上で正しい判断を

犬に生肉を与える「生食」とは?

はじめに「生食」の定義から。

生食」は「Raw meat-based (RMBD) diets」として海外のペットオーナーの間で以前から実施され、近年増加傾向にあります。

生食」として与えられる内容は、哺乳類(牛、豚、羊など)、魚、または家禽(鶏など)の筋肉、内臓、骨、および低温殺菌されていない牛乳や生卵です。

「生食のメリット」を検証。

生食のメリットは主に以下のものが主張されます。

  • 生肉の方が犬の消化に良い
  • 犬の先祖はオオカミで肉食なので、オオカミに近い食事の方が犬の体に良い
  • 生で食べることで、含まれる栄養素をそのまま摂取できる(特に酵素、ビタミン)

これらのメリットは個人的体験に基づくもので、科学的な検証はされていません。これらの主張の中には明らかに誤りもあるため(これについては後述)注意が必要です。

検証1:生食は「消化が良い」か?「酵素」視点で考えてみる。

『生食は「酵素」をそのまま摂取できるため、犬の消化に良い影響を与える』という主張。これについて検証します。

まず犬は消化に外部からの酵素を必要としません。自前の消化酵素で問題なく食物を消化できます。そのため食べ物に含まれる酵素が犬の消化を助ける、というのは誤りです。

次に、酵素そのものの性質に注目してみましょう。酵素はタンパク質でできています。食物は口から胃へ送られ、そこで強力な胃酸による消化にさらされます。犬の胃酸は平均pH1.4、これは強い酸性で食物を固形から粥状(糜粥:びじゅく)に変化させます。

タンパク質は「」「」「アルカリ」にさらされるとその性質を変えるという特徴があります。卵を加熱すると固くなり固形になります。牛乳にレモン果汁(酸性)を加えると牛乳内のタンパク質が固まり、カッテージチーズができます。

つまりタンパク質である「酵素」も消化液(強酸性)にさらされると、その性質が変わ流ということ。性質が変われば、酵素としての活性も失われます

そのため、食物にもともと含まれている酵素が消化を助ける働きは、期待できません消化液にさらされた時点で、酵素として働けなくなりますからね

結論:食物に含まれる酵素に、消化の手助けは一切期待できない。

検証2:「生で食べると栄養素が壊れにくいので、体に良い」を考えてみる。

『加熱により食物に含まれる栄養素が壊れてしまう。だから生のまま食べた方が体に良い』

そこで例に挙げられるのが「ビタミンC」です。

ビタミンCが調理によって失われるのは事実です。加熱で失われる代表のような栄養素。

ビタミンCは水溶性です。茹でる調理の場合、多くが水に溶け流れ出す。そのためビタミンCが豊富な野菜類は、茹でる場合は短時間、または煮汁ごと食べる調理法がおすすめです。

さて肉に含まれるビタミン含有量が多いのは「ビタミンA」「ビタミンB群」です。実は肉には、ビタミンCわずかな量しか含まれません

そのためもともと、ビタミンCの供給源として肉は適していません

ビタミンCを摂取したければ、他の食物から摂るのが妥当です。ビタミンCを摂取したいのであれば、肉のビタミン流出を考えるより、ビタミンCが豊富な野菜や果物を肉に添える方が現実的です

ビタミンB群も同じく水溶性。茹でると水に溶けて損失が大きいです。

ビタミンAは脂溶性。そして肉を焼く場合、ビタミンA、B群ともに損失量はわずかです

つまり、肉をシンプルに「焼く」という調理法であれば、生食と比べて大きく栄養が損なわれるわけでは無いということ。

加熱によるわずかな栄養の損失と、生肉には「病原体汚染」「寄生虫」(後述)のリスク。両天秤に抱えてよく考えてみることです。

感染症は、場合によっては犬を命の危険に晒します。それだけでなく、人にも感染する場合もある。これを人獣共通感染症(ズーノーシス)と呼びます。

人獣共通感染症(ズーノーシス)の中には、妊婦が感染すると流産・死産、退治に重い障害を残すものもあります。

そんな犬の生食で大げさな、と思う人もいるかもしれませんが、生で肉を食べると言うことはそれなりのリスクを負っている事を自覚すべきです。そうでなければ、わざわざ国が「肉は焼いて食べよう」と言う啓発キャンペーンをやったりしません→正しい知識で食中毒対策を! 肉はよく焼いておいしく食べよう

検証3「犬の祖先は狼で肉食なので、野生に近い食事=生肉がベスト」は正しいか?

犬の祖先が狼なのは事実です。狼は肉食寄りの雑食性です。犬は雑食動物で、肉以外の穀物などにもよく適応します。エネルギーとして利用するのに何の問題もありません。

犬は家畜は家畜化された動物です。犬はこれまでに歴史の中で、人間から与えられた食べ物に適応し、それらから糖質、脂質をよく消化し、エネルギーに変える方向へ進化してきました。

その結果、野生動物である狼と、家畜化された現代の犬では生物として大きな隔たりがあります。過去に祖先が同じだったことを理由に、野生動物である狼に近い食餌が犬にとって最適とは限りません。

野生動物は家畜化された動物と比較して寿命が短いです。その短い寿命の中で繁殖を行い、子孫を残すために最適な食餌が、そのまま家畜化された犬にとってもベストであるとは言えません。

生食の「リスク」を正しく理解しよう。

ここでは生食のリスクについて解説します。

病原体汚染の危険性を知ろう

飼い主が自分で購入した生肉、または「生食用」として売られている生肉から病原体が検出されるケースがあります。

オランダで行われた調査の数字を以下にご紹介します。

調査方法:オランダで販売されている、8つの異なるブランド、35種類の市販冷凍RMBD(生食用肉)を分析。結果は以下の通り:

  • 腸管出血性大腸菌O157(8製品、23%)
  • ESBL産生菌(28製品、80%)
  • リステリア・モノサイトゲネス(19製品、54%)
  • その他のリステリア菌(15製品、43%)
  • サルモネラ菌(7製品、20%)
  • 住肉胞子虫(4製品、11%)
  • トキソプラズマ(2製品、6%)

これらの病原体、および寄生虫が発見されました。→参考:Zoonotic bacteria and parasites found in raw meat-based diets for cats and dogs.

オランダでの調査につき、この結果をそのまま日本の製品に当てはめることはできません。しかし、食肉にこうした病原菌汚染は付きものです

サルモネラ菌は自然界に広く分布している菌です。鶏にとってサルモネラ菌はごくありふれた「腸内細菌」にすぎません。人間がサルモネラ菌に汚染された食物を食べると、サルモネラ食中毒を発症します。

日本国内における鶏肉のサルモネラ菌汚染率は高く、厚生労働省の市販流通食品の調査(1999〜2008年)では以下の結果が報告されています(平均値)。

  • 鶏ミンチ肉: 33.5%
  • 鶏たたき:10.6%

出典:鶏肉におけるサルモネラ属菌のリスクプロファイル改訂版を公表しました。

サルモネラ菌が鶏の腸内細菌である以上、食肉加工の行程上、処理した内臓に食肉が触れて汚染されることは防ぎきれません。

新鮮な鶏肉であれば大丈夫、というのは誤解です。新鮮でも、汚染された鶏肉であればサルモネラ菌による食中毒になります。

鮮度の問題ではなく「汚染されているか・いないか」。

サルモネラ菌は加熱することで失活します。

病原体の解説1:腸管出血性大腸菌O157

o157は出血を伴う腸炎や溶血性尿毒症症候群を引き起こす大腸菌です。主に食品の汚染から人に感染します。動物との接触で感染した事例もあります。

感染すると食中毒症状を起こします。O157は食材を加熱調理することで防げる病原体です。

病原体の解説2:ESBL産生菌

ペニシリンなどのβラクタム環を持つ抗生物質を分解する酵素を産生する菌のことです。簡単に言えば「抗生物質が効かない菌」です。薬剤耐性菌の一種です。これらの菌に感染すると治療が困難になります。

病原体の解説3:リステリア菌

リステリア菌による感染症は、人・動物にも見られる「人畜共通感染症」です。食品汚染が主な感染源ですが、ペットから感染する場合もあります。

成人の場合、感染しても発症しないケースがありますが、発症すると発熱、頭痛、嘔吐、意識障害や痙攣が起こります。

妊婦が感染した場合、胎児へ影響します。深刻なケースではリステリア感染症が原因で、胎児が出生後、数日で死亡するケースがあります。

ペットへの感染を防ぐことは、私たち自身、私たちの周りの人たちを守ることにつながります。生食にはこうしたリスクがある事を、正しく理解しておくことが大切。

リステリア菌は加熱によって死滅します。

病原体の解説4:サルモネラ菌

サルモネラ菌に汚染された食品を口にすると、食中毒症状がみられます。小児、高齢者は重篤化しやすいので注意が必要です。

鶏肉への汚染が顕著です。十分加熱することで、サルモネラ菌は死滅します

病原体の解説5:住肉胞子虫

様々な種類がありますが、フェイヤー肉胞子虫(馬肉の生食による食中毒の原因)が特に知られています。豚、牛、羊への感染、そこからの食中毒の報告もあります。

感染すると下痢、腹痛等の症状が現れます。十分な加熱調理を行うことで、防ぐことが可能です。

病原体の解説6:トキソプラズマ

トキソプラズは食物、水を介して感染します。感染リスクが高いのは豚、羊、山羊の生肉です。妊婦が感染した場合、胎児への深刻な影響(流死産、水頭症、視力障害など様々)があります。十分な加熱により、トキソプラズマは死滅します

まとめ:「生食」のリスクを正しく知って、私たち自身を守ろう。

犬にどのような食事を選び、与えるかは飼い主の自由です。

ただし、選択には責任が伴います。

食を考える際、犬とその飼い主自身だけでなく、周りの人たちの健康を守る意識を持つことも大切。

特に近年では「薬剤耐性菌」の出現が私たちの健康を脅かしています。食肉の生産現場では、家畜の成長促進に抗生物質を利用することが「薬剤耐性菌」を生む原因ではないかと問題視されています。→参考:家畜に使用する抗菌性物質について

食肉が「薬剤耐性菌」に汚染されていた場合、加熱処理をせず犬がそれを食べ、調理や犬の糞便の処理から人間への感染が懸念されます。

生食のリスクはもっとよく知られる必要があります

リスクを知らず、「自然だから」「ナチュラルそう」と言うイメージだけで生食を選択する姿勢は勧められません。

加熱した食材でも必要な栄養は十分に摂取できます。

犬にレバー、あげすぎるとビタミンAの過剰症になるって本当?を解説【初心者向け】

レバーはビタミンAが豊富な食材です。ビタミンAは脂溶性、体に蓄積が可能です。そのため、食べ過ぎると「ビタミンA過剰症になるのでは?」と心配する飼い主さんもいます。

では実際のところ、どうなのでしょうか?

この記事では「犬にレバーをあげすぎると、何故ビタミンの過剰症になるの?」「どのくらいの量なら安全なの?」を栄養学の視点から解説します。この記事を読むことで、あなたは「レバーとビタミンAの過剰症の関係」「犬にレバーを与える際の指標」を理解できるようになります。

なぜ、レバーを与えるとビタミンA過剰症になると言われるのだろう?

この問題を理解するための背景を整理します。

ビタミンA過剰症って何?

ビタミンAを過剰に摂取し、体内に蓄積することで起こる中毒症状を指します。食欲不振、体重減少など。

ビタミンAは「脂溶性ビタミン」

脂溶性ビタミンとは、油に溶ける性質を持つビタミンのこと。ビタミンAは体脂肪に蓄積することが可能です。

レバーは飛び抜けて「ビタミンA」含有率が高い食べ物

レバー100gあたりのビタミンA含有量を下記に示します(単位:μg マイクログラム)

  • 牛レバー:1100μg
  • 豚レバー:13000μg
  • 鶏レバー:14000μg

(出典:食品栄養成分表 / 女子栄養大学出版部)

特に鶏レバーがずば抜けてビタミンA含有量が高いことがわかります。

犬は1日にどのくらい、ビタミンAを必要とするの?

ビタミンA過剰症が心配!という場合「どのくらいの量までなら安全なの?」を知ることが大切です。ここで計算してみることにします。

計算式。ペットフードの基準を参考にしてみる。

ペットフードの基準値とされているAAFCO(米国飼料検査官協会)の数値をもとに考えてみましょう(1997年版)。

これによると成犬用ドライフード1kg(エネルギー量:3500kcal)あたりには、5000IUのビタミンAを最低含めること、とされています。

ペットフードは「それだけを食べて犬が健康で生きていける」とその時点で保証された栄養を含んでいる、というのが大前提です。ただし、この数字も必要に応じて改定されるので「絶対値」ではないことを理解しておく必要があります。

体重10kgの犬の場合で考えます。成犬の場合、1日当たりのエネルギー量は約700kcalです。このフードを1日に200g食べる計算となります。ここから必要とするビタミンAは1000 IUと計算できます。

さてAAFCOの基準では、成犬用ドライフード1kgあたりのビタミンA最大許容量は250000IUとされています。ここから単純に最低量の50倍程度までは許容範囲と考えられます。

では、この1日の要求量の50倍のビタミンA(最大許容量)をレバーに換算するとどのくらいの量か?を考えてみましょう。

ビタミンA許容量MAXまでをレバーで摂取すると、一体どのくらいの量になるの??

体重10kgの犬の1日最大許容量のビタミンA:1000 IU×50倍=50000 IU。

鶏レバー100g当たりのビタミンA含有量:14000μg=560000 IU

1日鶏レバー8.9gまでは許容範囲、という計算になります。

許容範囲最大、というのはここでは「体に影響が出ない範囲内MAXで」という意味で使っています。

鶏レバーはお刺身サイズのものを一切れで軽く9g程度になりますから、特に体の小さい小型犬は与える量に注意が必要です。

1回の食事で多少許容範囲を超えても、通常すぐに中毒症状が現れることはありません。ペットフードの最大許容範囲は安全を考慮してあるため、そこからちょっとでも超えると即中毒!という設定ではないからです。

しかしながら、脂溶性であるビタミンAは体に蓄積する性質を考えると、安全な許容範囲を超えてレバーを与え続けるのは避けるべきでしょう。

実際に、犬のビタミンAの安全上限を超えた食事を長く続けると、ビタミンA過剰摂取につながるとの報告もあります→ 参考:Vitamin A excess by feeding with horse meat products containing high levels of liver

安全に食べられる「量」をきちんと把握しよう。

過剰症にならない範囲内で最大のビタミンAを、もし手作りごはんで食べさせるとしたら、何をどのくらい?」と、データを元に考えてみることは大切です。

闇雲に怖がるのではなく「どのくらい?」と実際に食べる量で考えてみる。こうした情報を自分で集め、考えられるようになると、手作りごはんへの不安を減らせます。犬の食事の安全度も高まります。

結論:レバーは安全な犬に量を知り、毎日連続で食べない限り大丈夫。

どうしても心配な場合はレバーの中でもビタミンA含有量が低い「牛レバー」を選べばより安心できます。

全ての栄養素について言えることですが、ビタミンAに限らず、一度に大量摂取するのは避けるべきです。

犬の栄養学の基礎を学びたい方はこちらもどうぞ。

犬に塩分は危険?不要?犬と塩分の正しい関係を理解する【初心者向け】

犬の手作りごはんに味付けは不要です。これはシンプルな事実です。一方でこの事実が一人歩きし「犬に塩分は危険!」という誤解も生まれています。

過度の塩分摂取は犬だけでなく、人間も危険です。ただしそれはあくまで「」の問題。塩分自体が犬の体に害を与える「毒物」というわけではありません。

この記事では、こうした「塩分」への誤解を解き、犬と塩分の正しい関係について解説していきます。

この記事を読むことで、あなたは「犬と塩分」の関係について正しく理解できるようになります。必要以上に塩分を怖がることがなくなり、犬の手作り食への不安を一つ解消できます。

そもそも塩分は、犬にとって必要です。

私たちの体は人も犬も、塩分を必要とします。

「塩分」を知ろう

塩分というのは一般的に「食塩」と同じ意味合いで使用されます。ここでは成分「塩化ナトリウム」について詳しく解説します。「塩素」と「ナトリウム」で構成される物質です。

塩素のはたらき

塩素」は体の中で「胃液」の材料になります。胃液中に含まれる「塩酸」のなかに「塩素」は含まれており、タンパク質を消化する酵素を活性化します。

また「塩酸」は強い酸性なので、殺菌効果を発揮します。食べ物に含まれる雑菌を殺し、犬を食中毒から守っています特に犬の胃酸は酸性度が高く、少々腐った食べ物を食べても平気でいることも多いです。

ナトリウムの働き

ナトリウムは体内の水分量を調整するのに欠かせません。

カリウムとセットになり、神経伝達、筋肉収縮、心臓を正常に動かすなど大切な働きを担っています。

最初の結論「犬だって塩分は必要」

塩素もナトリウムも、生きていく上で犬にとって大切なものです。食事から全く摂取できないと、生理・代謝が阻害されます。最終的には生命の危険があります。

結局のところ、大事なのは「」の問題です。与えすぎてもダメ、与えなさすぎてもダメ。

では、犬の手作りごはんを作る上で「塩分」をどう扱ったらいいか?

肉・魚にもともと含まれる塩分で犬は十分

味付けをしていない生の魚や肉にも一定量の塩分が含まれています。

例えば鮭。塩で味付けをしていない生の鮭を焼いて食べたことはありませんか?その時全く塩味はしなかったでしょうか?

塩でしっかりと味付けをしたものほどではなくても、ほんのりとかすかな塩気を感じるはずです。

実際に、味付けをしなくても鮭100gあたりには0.2gの塩分(食塩相当量で換算)が含まれています。(出典:食品成分表 女子栄養大学出版部)。

肉も同様です。鳥もも肉100gあたり0.1gの塩分が含まれています。

つまり、特に味付けをしなくても肉・魚にはもともと塩分が含まれている、ということです。。犬はこの「もともと食材に含まれている塩分」のみで十分やっていけるため、手作り食に味付けは不要なのです。

犬に塩分は不要」は不正解。

犬は低塩分でも生きていける」が正解。

犬も生命維持には塩分が必要なので、必要量は摂取しなくてはいけません。それは肉や魚に元々含まれている量で十分です、という話。

ちなみに犬の1日の塩分要求量は「体重1kgあたり242mg(NRC:National Research Council 1977)」とされています。成犬期の犬・体重10kgで2.4gほどです。これは一般的な食塩小さじ1/2杯程度に相当します。

犬に塩分が「害」になる量ってどのくらい?

一般に犬が体調を崩す塩分の摂取量は2〜3g/kg(体重1kgあたり)、4g/kgで致死量とよく言われます。体重10kgの犬が食塩を20〜30g摂取で嘔吐などの異変が現れる計算になります。

食塩20〜30gというのは相当な量です。塩大さじ1杯が約15g、大さじ2杯の食塩を一度に食べて体調不良というイメージです。

塩大さじ2杯を一度に口に入れるところをイメージしてみてください。これはかなり「しょっぱい」どころではない量ではないでしょうか?

犬が塩分を一定量、一度に摂ると確かに体調不良を起こします。しかしながら、その大量不良を起こす量が、常識的に考えて「そもそも一度に食べられる量ではない」ということがわかります。

犬に口の中が塩が白だらけになる量を与えても、そもそも飲み込まずに吐き出すことでしょう。

でも実際に、塩分の過剰摂取による、犬の体調不良や死亡事故が起こるのは何故?

塩の誤食事故には以下のパターンがあります:

  • 高濃度の塩分が溶けた水を興味本位で舐めた、飲んだ
  • 異物を飲み込んだ犬へ、飼い主が「塩水を飲ませれば吐く」という情報をもとに大量の食塩水を飲ませた
  • 塩化ナトリウムを使用した「融雪剤」の誤食
  • 海水を大量に飲み込んだ

これらの誤食事故は、飼い主が注意することで多くの場合、防げます。

まとめ

犬にとっても「塩分」は必要。生命維持に欠かせない大切な物質。

ただし、犬は人ほど塩分を必要としない。低塩分でも生きていける動物。

問題になるのは「」。過度な塩分摂取は中毒症状を起こすので誤食事故に注意。

手づくりごはんは肉・魚にもともと含まれる塩分をそのまま生かし、味付けなしで犬に与えるもの。犬が生きていくのに必要な塩分はそれで十分摂取可能

犬の手作りごはんの栄養、最低限押さえておきたい5種類の栄養素【初心者向け】

犬の手作りごはんを始めるにあたり。きちんと栄養バランスがとれた食事を用意できるか?と不安に思う人も多いはず。

そこでこの記事では最低限押さえておきたい「5つの栄養素」について解説します。この記事を読むことで、あなたは犬の手作りごはんに必要な「5つの栄養素」についてマスターできます。

栄養学は実はシンプル「五大栄養素」をマスターしよう

栄養学を必要以上に難しく考える必要はありません。なぜなら、私たち人間も学校の家庭科で少しだけ栄養について習っただけで、何となく栄養について知っているからです。そうした何となく、のレベルでも実際、結構うまくやっていけているのではないでしょうか?

糖質はエネルギーになる、タンパク質は体を作る。こうした簡単な知識があれば特に難しい専門知識がなくても、多くの人は自宅で料理をしています。それを食べて健康に生きている人の方が世の中には圧倒的に多いです。

犬の手作りごはんも同じに考えてみてください。もちろん犬と人は違います。なので犬に食べさせてはいけない食物についてはきちんと把握して、それを使用しないなどの配慮は必要です。

食べさせてはいけないものについてはこちらの記事で詳しく解説していますのでご参考に:犬の手作りごはん「食べさせてはいけないもの10のリスト」【初心者向け】

実は人と犬が必要とする栄養素は、ほぼ同じです。栄養素にはたくさんの種類がありますが、その中で特に多く必要で、1日必要量や詳しい働きがわかっているものを「五大栄養素」と呼びます。手作りごはんを作るにあたり、まず理解しておきたいのはこの「五大栄養素」です。

基本の五大栄養素を知ることで、栄養のアウトラインが見えてきます。栄養について不安を持っている人は、まず栄養を「知る」ところから始めましょう。

五大栄養素とは?

以下の5つの栄養素を指します。

  • 糖質
  • 脂質
  • タンパク質
  • ビタミン
  • ミネラル

一つ一つ見ていきましょう。

糖質

糖質より、炭水化物という言葉に馴染みがある方もいるかもしれません。これは「糖質」+「食物繊維」をまとめた言葉です。体内でエネルギーになるのは主に「糖質」の方なので、ここでは糖質について解説します。

糖質は消化吸収されやすく、体内に吸収されると速やかにエネルギーに変換されます。犬のエネルギー源として主になるものです。

特に脳はエネルギーのほとんどを糖質に依存しています。このため、糖質が不足すると脳の機能が低下してしまいます。

糖質から速やかにエネルギーを取り出すことは、疲労回復にもつながります。糖質不足は体がだるい、疲労感が取れないなど体の不調につながるので注意が必要です。

犬は肉食動物なので、エネルギー源として糖質は不要、との記述が時々見られますがこれは間違いです。

犬は雑食動物です。肉以外の食物にもよく適応します。糖質も問題なく消化・吸収し、エネルギーとして利用できます。

過剰摂取は肥満、虫歯につながりますが適量を摂取することは犬にとっても大切です。

糖質を体内でエネルギーに変えるには「ビタミンB1」が必須です。ビタミンB1が不足すると、糖質をうまくエネルギーに変えることができず、疲れの原因となります。

ビタミンB1は精製していない穀類の外皮、豚肉に多く含まれます。

体をよく動かす犬の食事には、糖質とビタミンB1をセットにしてメニューを組むと、疲労回復に役立ちます。

【糖質を多く含む食べ物】ごはん・パスタ・うどん・じゃがいも

脂質

脂質はエネルギーになる他、細胞膜、ホルモン、脳や神経を作る材料にもなります。

脂質は体の中で合成できないため、必ず食事から摂取する必要のある「必須脂肪酸」の供給源になります。

また、ビタミンの中には、油に溶ける性質のある「脂溶性ビタミン(A・D・E・K)」があります。これらのビタミンは脂質と摂取すると、体内での吸収率が上がります。

脂質は健康な皮膚を維持するにも重要です。犬の皮膚を覆う皮脂膜も脂質から作られます。

脂質はエネルギー値が高く、過剰摂取すると肥満につながるため敬遠されがちです。しかしながら、犬の体を健康に保つ上でも脂質は大切です。肉・魚・油脂類などから適量を摂取しましょう。

【脂質を多く含む食べ物】肉の脂身・オリーブオイルなどの油脂類・魚油

タンパク質

タンパク質はエネルギーになると同時に、体を作る材料として必須です。健康な体を維持してい久野に大切なものです。

タンパク質が不足すると、体の新陳代謝が低下します。免疫を支える抗体や免疫細胞もタンパク質でできているため、タンパク質不足は免疫低下にもつながります。

タンパク質を構成するのは「アミノ酸」と呼ばれる物質です。アミノ酸は様々な食物に含まれていますが、中には体の中で作ることができないので「必ず食事から摂取する必要があるアミノ酸」が存在します。これを「必須アミノ酸」と呼びます。

犬の必須アミノ酸は10種類あります:

アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、バリン、ロイシン、メチオニン、スレオニン、リジン、トリプトファン、フェニルアラニン

必須アミノ酸をバランスよく摂取したい場合は肉・魚・大豆製品を食べるのがおすすめです。

【タンパク質を多く含む食品】肉・魚・大豆製品・乳製品

ビタミン

ビタミンは三大栄養素がエネルギーに変わるのを助けたり、体の中で行われる様々な代謝反応を助けます。

必要な量はわずかですが、体の中で作れないもの、作れたとしてもごくわずかなものなため、食事から摂取する必要があります。

極端に不足すると「欠乏症」、過剰に摂取すると「過剰症」が起こります。

手作り食ではこの「欠乏症」「過剰症」について心配する方が多いですが、バランスの良い手作りごはんメニューを食べている限り、過剰も不足も起こりません。

欠乏症は、ささみだけを食べて3ヶ月、というような「極端な食生活」をしない限り起こりません。過剰症も、ビタミンのサプリメントを誤って犬が大量に飲み込んだような場合に心配されるようなことです。

バランスの良い手作り食の作り方:材料の比率については手作りごはんとは?(作る場合の注意点・作り方を簡単に解説)【超初心者向け】で解説しています。

●ビタミンには「脂溶性」「水溶性」がある

脂溶性ビタミン」は油に溶ける性質があります。脂溶性ビタミンは「ビタミンA・D・E・K」です。油と一緒に摂取することで吸収率が高まります。油に溶ける性質を利用して、体内に備蓄が可能です。その場合は多くが「肝臓」に貯蔵されます。

脂溶性ビタミン一覧

水溶性ビタミン」は水に溶ける性質を持ち、一度に多く摂っても不要な分は「尿」として排泄されます。そのため体内に貯めておくことはできません。毎日の食事から摂取する必要があります。水溶性ビタミンは「ビタミンB群・C」です。

*現在は多くのビタミンが成分名で呼ばれます。

水溶性ビタミン一覧

水溶性ビタミンのビタミンCは、茹でると煮汁に溶け出します。そのため、調理は短時間で済ませる、または汁ごと食べるメニューにすると栄養の損失を少なく抑えられます。

ビタミンCは抗酸化力の高い「ビタミンA・E」と組み合わせることで、相乗効果が期待できます。

ミネラル

ミネラルミネラルは「骨や体など体の構成成分になるもの体を作る」「体内の代謝活動を調整するもの」があります。

体に含まれる量によって「主要ミネラル」「微量ミネラル」に分けられます。

ミネラル一覧

まとめ

以上が五大栄養素です。

これらの栄養素は、「肉・魚類」「ごはんなどの糖質」「野菜」を偏りなく手作り食メニューに組み込むことで無理なく摂取できます。

私たちが普段、わざわざ栄養計算をせずに食事を作り、健康で生活できているように、犬も色々なものを偏りなく食べることで必要な栄養を摂ることができます。

基本を知った上で、難しく考え過ぎずに作って行くことが大切です。

犬の手作りごはんの量をどう決める?【初心者向け】

手作りごはんの適切な量は、犬によって違います。

そのためグラム数やカロリー計算ではなく、犬の体型・体重の増減をみながら調整するのが正解です。以下、具体的に解説していきます。

人の食事量も体重の増減で決める。犬も同じ。

人の場合も体重が増えれば食事量を減らしてダイエットします。逆に体重が減ってきたら食事量を増やします。

今この記事を読んでいる飼い主さんご自身の食生活と、体重の関係を考えてみてください。

太った→食事量を減らす
痩せた→食事量を増やす

その際、1日の摂取カロリーや栄養素の量まで、事細かに計算する人は少ないはずです。

せいぜい「脂身はカロリーが高いから、ロースはやめて脂肪分の少ないササミにしよう」「ごはんは糖質で太りやすいから控えめにしよう」という風に、アバウトに食事量を調整しているはず。

犬も同様と考えてください。

器の大きさで、手作りごはんの目安量を決める

そう言われても、初めて犬の手作りごはんに取り組む人は「それでは不安」と感じることでしょう。

そこで簡単な量の目安をご紹介します。

犬の頭に帽子をかぶせるところをイメージしてみましょう。

それと同じ大きさのフードボウルに手作りごはんを2/3程度盛り付けるところをイメージしてください。これが1回の食事量になります。

犬の手作りごはん量の目安

体型を見ながら食事量を調整

まず手作りごはんを2週間程度続けてみます。

体型に変化がなければ食事量は適量です。

適切な体型がどうかのチェック方法を以下に解説します。

犬の理想体型は腰に適度なくびれがあること

犬のボディコンディションスコア(BCS)を参考にする

ボディコンディションスコア(BCS)犬の体型評価に使用されます。
理想体型は:

  • 体脂肪率15%〜24%
  • 肋骨の上にうっすらと脂肪が覆っている
  • 脂肪の上から肋骨の上に触れられる
  • ウエストに適度なくびれがある
  • 横から見るとお腹に凹みがある

イラストでBCSを見られるサイトをご紹介するので、こちらも参考に。
→ ぽっちゃりは短命?愛犬の体重管理の大切さ(ロイヤルカナン)

手作りごはんを続けてみて、犬の体型が理想的にキープできていれば問題ありません。

手作りごはんで栄養が、ちゃんと足りているか心配

極端に偏った食事内容でなければ、犬が栄養不足になることはありません。

基本の食事内容は肉・魚類(1):主食(1):野菜類(1)の割合です。

1日何gという基準値があれば安心、という人も多いですが、犬によって活動量、栄養を吸収する能力は異なります。必要なエネルギー量も変わってくるため、必要な食事量をグラム数だけで算出するのは無理があります

多くの普通の飼い主が手作りごはんを実践している。

犬の手作りごはんは、家庭で作る日常ごはんという位置付けです。

多くの人が栄養の専門家でなくとも自分で食事を作り、問題なく健康に暮らしています。犬も同様です。基本の食事内容を守り、色々なものを偏りなく食べさせることで犬も健康に暮らせます。

実際に世の中の多くの犬の飼い主がて作るごはんを作り、犬に食べさせています。

そうした様子はブログやSNSでも公開されています。そうした人たちがどんなものを食べさせているか、犬たちの様子はどうか、を参考にしてみるのもおすすめです。

結論:犬の体型を見ながら適量を探る。

犬に合わせた食事量は、飼い主さんが犬の体と向き合い時間をかけて探っていくものです。基本を守れば栄養の偏りも、栄養の不足も起こりません。

まずは実際にやってみて、犬をよく観察することから始めてください。

書籍を参考にするのもおすすめです。

一緒に作って食べられる 犬のごはん うちのワンコはこれ1冊で一生健康生活 [ 須崎恭彦 ]

犬の手作りごはんレシピ「基本の鶏肉おじや」【初心者向け】

犬の手作りごはん初心者には、作りやすい「鶏肉おじや」がおすすめです。材料を柔らかく煮込む「おじや」は、手づくりごはんを初めて食べる犬にも消化がしやすいです。

犬の手作りごはん鶏肉おじや
初心者向け犬の手作りごはん「鶏肉おじや」

今回は「鶏肉」を使ったレシピをご紹介します。鍋に材料を入れて煮込むだけなので簡単です。

*レシピはすべて、体重25kgの大型犬2匹×2回分です。
*犬に与える手作り食の「」についてはこちらの記事(現在制作中。準備出来次第UPします)を参考にしてください。

食べている様子、材料、作り方、コツの紹介

このメニューを実際に犬が食べている様子を動画でご紹介します。

材料

  • 鳥もも肉:1枚
  • ごはん(炊いたもの):1膳
  • ブロッコリー、カリフラワー:小房を各3個ずつ
  • にんじん:1/2本
  • インゲン:2本
  • 水:600cc

作り方

  • 鍋に湯を沸かす。鳥もも肉は一口大に切る。ブロッコリー、カリフラワーは小房に分ける。にんじん、インゲンは食べやすい大きさに切る。
  • 鍋に肉、野菜を入れ柔らかくなるまで煮る。
  • 材料が煮えたら、ご飯を加えて軽く混ぜる。
  • 十分冷ましてから犬に与える。

簡単に作るためのコツ

野菜は数種類が入った「冷凍ミックス」を使うと便利です。手軽に複数の野菜が一度に摂れます。その場合は、「犬に食べさせてはいけない野菜」が入っていないかに気をつけてください。「食べさせてはいけないもの10のリスト」【初心者向け】も、あわせて参考にしてください。

犬の手作りごはん「食べさせてはいけないもの10のリスト」【初心者向け】

初心者は要チェック!犬にこれは食べさせちゃダメ

犬に食べさせてはいけない食べ物の把握は「犬の手作りごはん」を作る前に必要な必須の知識です。

このページでは、食べさせてはいけない食物10種類について解説します。
紹介するリストはこちら:

チョコレート/ネギ類(玉ねぎ・ニンニク)/ぶどう(レーズン)/生のイカ/大量の脂身/アボカド/マカデミアナッツ/キシリトール/カフェイン(コーヒー・紅茶・緑茶)/アルコール類

1:チョコレート

犬がチョコレートを食べると、チョコレート中毒と呼ばれる症状を起こす場合があります。

犬に食べさせてはいけない食べ物「チョコレート」
チョコレート

チョコレートの毒性

チョコレートには「テオブロミン」と「カフェイン」が含まれています。この成分が犬の健康に影響します。

毒性は「食べたチョコレートの種類」と「食べた量」によって決まります。

カカオの含有率が高い「ダークチョコレート」の危険度が最も高く、「ホワイトチョコレート」では危険度が下がります

ごく少量の誤食では、ほとんどの場合、犬に健康上の症状は現れません。

中毒症状

  • 落ち着きがない
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 心拍数の上昇
  • 血圧上昇
  • 体温上昇

犬がチョコレート中毒になった場合、獣医師へ速やかに「犬が食べたチョコレートの種類」「量」を伝えましょう。

2:ねぎ類(ねぎ・ニンニク)

犬が玉ねぎを食べると、玉ねぎ中毒を起こす場合があります。尿の色が赤く変わる症状が出た場合は、すぐに動物病院へ。

犬に食べさせてはいけないもの「玉ねぎ」
玉ねぎ

ネギ類(玉ねぎ・ニンニク)の毒性

玉ねぎを含むネギ類(ねぎ、ニンニク)には「犬の赤血球を破壊する成分」が含まれています。

刺激が強い成分が多く、犬に「胃腸炎」を引き起こす場合もあります。

ネギ類の中毒は、症状が現れるまで時間がかかる場合があります。食べてから数日後に症状が現れることもあります。

初心者はここに注意!

玉ねぎの有毒成分は、加熱しても壊れません。煮汁にも溶け出すため、玉ねぎそのものを取り除いても、有毒成分は汁に残ります

中毒症状

  • 尿が赤くなる(赤血球の破壊による。血尿とは異なる)
  • よだれ
  • 腹痛
  • 嘔吐
  • 下痢
  • 呼吸数増加
  • 心拍数増加

3:ぶどう(レーズン)

ぶどうは犬に急性腎不全を起こす場合があります。

犬に食べさせてはいけないもの「ぶどう」
ぶどう

毒性

ぶどう(レーズン)による「急性腎不全」はブドウジュース、レーズンを含むお菓子やパン、クッキー、ワインなどでも起こります。

ぶどうがなぜ、犬に中毒を起こすか?という原因はまだわかっていません。

また、ぶどうによる中毒は「食べた量に関係なく」起こっています。

無農薬栽培・通常栽培を問わず、犬に中毒を起こす可能性があるため、注意が必要です。

中毒症状

  • 嘔吐
  • 下痢
  • 腹痛
  • 急性腎不全

4:生のイカ

生のイカは消化が悪く、犬に嘔吐・下痢を引き起こす場合があります。

犬にたべさせてはいけないもの「生のイカ」
生のイカ

イカは生のままでは消化が悪い。

消化の悪さから、イカは犬が食べるのに適した食物ではありません。

消化が悪いことは、加熱しても変わりません

犬の手作りごはんには、イカ以外にも安心して使える食材がたくさんあります。どうしてもイカを食べさせなければならない!という状況は稀です。他の食材を検討しましょう。

5:大量の脂身

大量の脂身を含む食事が原因で、犬が急性膵炎を起こす場合があります。急性膵炎は命の危険を伴います。

犬に食べさせてはいけないもの「大量の脂身」
大量の脂身

毒性

脂肪の大量摂取による「急性膵炎」で動物病院へ運ばれる犬が増えています。
特定の犬種、肥満犬、老犬に起こりやすいことも特徴です。

起こりやすい犬種:ミニチュアシュナウザー/トイプードル/コッカースパニエル

膵炎の症状

  • 嘔吐
  • 腹痛
  • 食欲不振
  • 下痢

急性膵炎は命の危険が伴う非常に危険な症状です。速やかに動物病院を受診してください。

6:アボカド

アボカドの犬への影響は議論が分かれています。種子の丸呑みによる腸閉塞のリスクにも注意が必要です

犬に食べさせてはいけない食べ物「アボカド」
アボカド

アボカドの毒性は議論が分かれている

アボカドに含まれる物質「ペルシン」が毒性成分と言われています。この影響を受けるのは大型の鳥、牛、羊、山羊などです。犬は影響を受けにくいと考えられています。

アボカドは脂肪分が多いため、大量摂取による「急性膵炎」のリスクもあります。

種子の丸呑みも報告されており、異物による食道閉鎖のリスクがあります

誤って食べてしまった場合、嘔吐・下痢などの症状が出ないか注意してください。

7:マカデミアナッツ

ナッツには大量の油脂が含まれています。そのため、急性膵炎を引き起こす場合があります

犬に食べさせてはいけないもの「マカデミアナッツ」
マカデミアナッツ

マカデミアナッツが中毒を起こす仕組みは、まだわかっていません。ごく少量でも症状が出ます。

マカデミアナッツには大量の油脂が含まれており、急性膵炎発症のリスクがあります。症状は3〜6時間以内に起こり、24〜36時間続きます。

中毒症状

  • 脱力
  • 歩行困難
  • 体温上昇
  • 嘔吐
  • 下痢

8:キシリトール

人には安全なキシリトールも、犬には低血糖、肝不全を起こす場合があります。ガムの誤食には注意が必要です。

犬に食べさせてはいけないもの「キシリトール」
ガムに含まれるキシリトールの大量摂取

毒性

キシリトールはガム、デンタルケア製品、歯磨き粉などに多く含まれます。人には安全な成分ですが、犬が摂取すると低血糖、肝不全を起こす場合があります

中毒症状

  • 嘔吐
  • 体に力が入らない
  • 歩けなくなる

キシリトール中毒は摂取後、20分〜3時間以内に起こります。比較的早く症状が現れやすいのが特徴です。

9:カフェイン(コーヒー・紅茶・緑茶)

カフェイン中毒はコーヒー、紅茶などの飲み物の他、頭痛薬の誤食でも起こります。特に薬の誤食は命の危険に直結します

犬に食べさせてはいけないもの「コーヒーなど、カフェインを含むもの」
コーヒーなどカフェインを含むもの

中毒症状

  • 落ち着きがなくなる
  • 嘔吐
  • 心拍数の増加
  • 下痢
  • 心不全

10:アルコール類

ワインなどのアルコール飲料だけでなく、手指の消毒液でも中毒が起こります。

犬に食べさせてはいけないもの「アルコール類」
アルコール類

犬がアルコールを摂取すると酔っ払った状態になります。

中毒症状

  • 低体温
  • 胃腸障害
  • 眠り込む

症状は30〜90分以内に急速に起こります。24〜36時間続く場合があります。

参考リンク

犬に野菜ってあげていいの?与えてダメなものではないですよ。詳しい理由と解説【初心者向け】

犬に生肉を与えてもいいですか?与えるべき?その前に!生肉潜むリスクをちゃんと知っていますか?【初心者向け】

犬にレバー、あげすぎるとビタミンAの過剰症になるって本当?を解説【初心者向け】

犬に塩分は危険?不要?犬と塩分の正しい関係を理解する【初心者向け】

プロフィール

犬の手作りごはんライフ:運営者

こんにちは。「犬ごはんライフ」運営者の諸橋直子です。

北海道札幌市で「犬の手作りごはん」をテーマにメルマガ、講座の運営を行なっています。

二匹のラブラドールと暮らしています。 手作りごはん歴は14年(2019年11月現在)

初代黒ラブ:ぐりのお腹が弱く、食事について試行錯誤する中で「犬の手作り食ごはん」に出会いました。

犬の手作りごはん、マッサージなどの講座を運営しています。

メールマガジンの運営。読者数3,500名(2019年11月現在)

AEAJ認定アロマセラピーインストラクター/愛玩動物飼養管理士2級/日本ペットマッサージ協会認定ペットマッサージセラピスト/日本ペットマッサージ協会認定 ペット東洋医学アドバイザー/JADP認定中国漢方ライフアドバイザー

主な運営媒体:

犬の手作り食を学ぶ「Office Guri

メールマガジン:「ぐり通信

犬の健康を学ぶ各種オンライン講座:ラインアップはこちら

手作りごはんとは?(作る場合の注意点・作り方を簡単に解説)【超初心者向け】

犬の手作りごはんが初めて。どういうものか知りたい初心者のための解説。

犬の自宅でご飯が作れるの?初めて知った方は驚きます。

犬といえばドッグフードを食べるものだと思っていた、という人も多いです。この記事では、「最近、犬の手作りごはんに興味を持った」という初心者向けに、基本情報を解説していきます。

手作りごはんとは?

犬の手作りごはん「鳥もも肉とトマトの煮込み」
手作りごはん「鳥もも肉とトマトの煮込み」

手作りごはんとは、自宅で様々な材料を使って作る、犬のためのごはんです。

手作りごはんには、何を入れたらいい?基本の構成

主食(ごはん・麺類など)+肉・魚類(タンパク源・脂質源)+野菜類(ビタミン・ミネラル源)

基本の構成は人間とほぼ同じです。

手作りごはんに使う材料

肉、魚、野菜類、米、パスタ、うどんなど、スーパーで売られている、ごく普通の食材でOKです

特別な「犬用の肉」「犬用の魚」「犬用の米」があるわけではありません。私たちが普段口にするもので問題ありません。

但し、ハム、ソーセージ、塩鮭など、すでに味がついた加工食品は除きます。詳しくは後述しますが、犬の手作りごはんに味付けは不要です

手作りごはんの注意点

材料は基本的に、人間のものでOKです。ただし、人と犬とはやはり違います。手作り食を作る上で押さえておきたい「注意点」があります。

まずはその「注意点」を把握することが大切。

手作りごはんの注意点1:味付けは不要

人と同じ食材を使って作る手作りごはんですが、「味付け」は不要です。

味付け」と言うのは、「砂糖を加えて甘くする」「醤油や味噌を加える」「塩を振る」など。

スパイスを加える」なども不要です。スパイスは犬にとっては刺激が強く、胃腸を荒らす場合があるので使用厳禁です

ハーブ」も様々な種類がありますが、犬にとって刺激が強いもの、有益なもの、様々です。見分けが難しいので、手作り食初心者の方には向きません。

犬の手作りごはんは「素材をシンプルに、煮たり、焼いたりして作るもの」と、ここでは理解しておきましょう。

手作りごはんの注意点2:犬に食べさせてはいけないものを把握する

人が普段食べているものでも、犬が食べると中毒を起こすものがあります。

代表的なのは「ネギ類」「チョコレート」「レーズン(ぶどう)」。

詳しくは【初心者向け】「犬に食べさせてはいけないもの10のリスト」で解説しています。

これらの「食べさせてはいけな食材」を事前に把握した上で、手作りごはんを始めましょう。

手作りごはんの作り方

手作りごはんを作るのは簡単です。

基本の材料「主食+肉・魚類+野菜」を組み合わせて作ります。

材料の割合は「主食(1):肉・魚類(1):野菜(1)」がおすすめです。

初心者の場合「おじや」が作りやすいです。初心者向けの「おじやレシピ」を公開していますので参考にしてください。

いきなり手作りごはんに変えるのは不安、と言う場合は「フードにトッピング」でも良い

急に今までのドライフードから、手作りごはんの変えるのは不安だと言う場合は、フードの「茹でた野菜」「茹でた肉」をトッピングするだけでもOKです。

特に普段から、フードの種類を変えただけでお腹の調子が変わる犬の場合、いきなり食事内容を変えるのはおすすめではありません。

まずはトッピングから始めて、時間をかけて変えていくのがベストです。

手作りごはんの「メリット・デメリット比較」

かかる手間(飼い主視点)・栄養(犬視点)で解説します。

飼い主側のメリット

  • 色々食べさせると犬が喜ぶ姿が見られる
  • 旬のものを一緒に味わえる
  • 自分で選んだ材料で作るので安心感がある

飼い主側のデメリット

  • 調理が必要なので、ドライフードよりは手間がかかる
  • 栄養バランスへの配慮が必要

メリットの中でも特に大きいのが「犬が食事で大喜びするようになった」と言う点。 飼い主側が得られる満足は大きいです。

デメリットの項目は「私たちが普段、自分たちの食事を考えるときにやっていること」でもあります。

これを犬のためにも考えるひと手間が加わる、と言うことです。 「調理」も、犬の手作りごはんだからと言って、特別なことをする必要はありません。 普段の食事づくりの延長と考えると、デメリットもさほど大きなものではなくなります。

犬側のメリット

  • 色々なものが食べられて楽しい!(食べる喜び)
  • 新鮮な食材を食べられる
  • 温かいもの、冷たいもの、ご飯、パスタ、肉、魚など食のバリエーションが広がる
  • 様々な食感のものを食べることが、犬にとっての刺激となる
  • 体に取り入れる栄養素のバリエーションが広がる
  • 体調に合わせたごはんが食べられる

犬側のデメリット

  • 飼い主が偏った手作りごはんを与えると、犬も栄養に偏りが出る

まとめ

犬の手作りごはんとは「家庭で作る、犬のための食事」。 「犬に食べさせてはいけない食べ物」「味付けはしない」など、基本事項を抑えれば誰でも作ることができる。 初心者はまず「おじや」から。基本のおじやの作り方はこちらで紹介しています→ 犬の手作りごはんレシピ「基本の鶏肉おじや」【初心者向け】