2019年 11月 の投稿一覧

犬におすすめ食材「さんま」栄養価・与え方の解説【初心者向け】

秋の味覚の代名詞である「さんま」。脂と旨味の乗ったさんまは犬にもおすすめです。

この記事ではさんまのついて以下の内容で解説していきます。

  • さんまの栄養価
  • さんまを与える際の注意点

さんまの栄養価

さんまの油に含まれるEPA・DHAは血管の健康、老化防止に役立つ可能性で注目される成分です。

ビタミンA、D、E、B12も豊富です。

青魚に特有の脂肪酸「EPA」「DHA」

【EPA】魚類の油脂(本鮪の脂身、ブリ、ハマチ、さんまなど)に多く含まれる。動脈硬化、高血圧、痴呆の予防、LDL(悪玉)コレステロールの低下

【DHA】魚類の油脂(マイワシ、本鮪の脂身、鯖、ブリ、さんまなど)に多い。抗血栓作用、脳卒中、高血圧、動脈硬化の予防LDL(悪玉)コレステロールの低下アレルギー症状の改善

詳しくは「脂肪酸」の記事でも紹介しています。興味のある方はご参照ください。

豊富なビタミン類

  • ビタミンA:目や皮膚の健康を守る
  • ビタミンD:カルシウムとリンの吸収を助け骨を丈夫に
  • ビタミンE:抗酸化作用の強いビタミン。老化防止効果に期待
  • ビタミンB12:貧血を防ぎ、神経や脳を正常に保つ

貧血予防、血栓の予防など犬の健康に役立つビタミン類を多く含みます。

与える際の注意点

生食(刺身用、注意事項あり)、加熱食どちらもOKです。

生食には「寄生虫」がつきもの

生魚には寄生虫がつきものです。

さんまに寄生する寄生虫の代表は「サンマヒジキムシ」。この寄生虫は胃痛などの激しい症状を起こすアニキサスとは違い、基本的には人には無害です。

しかしながら見た目には大変気持ちが悪いので、このような寄生虫がきっかけで生魚が苦手になってしまう人は多いです。

お店で売られているお刺身用のさんまでも、寄生虫がいる場合があります。大切なので繰り返しますが、魚には基本的に寄生虫がつきものです。

そのため、体が弱っている犬、子犬、老犬などは加熱して与えた方が安心できるでしょう。

さんまの骨は基本取り除く→柔らかくなるまで煮て骨ごともOK

さんまに限らず、魚全般犬に与える際は「骨を除く」ことが原則です。

一方でさんまサイズの魚の場合、圧力鍋などで「骨まで柔らかくする」ことで骨ごと美味しくいただくことも可能です。

圧力鍋を使ってさんまを骨ごといただくレシピは下記にご紹介しています。

骨に含まれる「カルシウム」は「ビタミンD」と一緒に摂取すると吸収率が上がります。

さんまに含まれるビタミンD+さんまの骨に含まれるカルシウムの組み合わせは、骨を丈夫にしたい犬にぴったりです。

初心者は「焼き魚」がおすすめ

手作りごはん初心者の方は、シンプルな「焼き魚」がおすすめです。

さんまを焼き(塩は加えない)骨を除いて身をほぐし、犬のご飯にトッピングするところからスタートしてみてください。

まとめ

  • 青魚である「さんま」は栄養価が高く、犬にもおすすめ
  • EPA、DHAなど体に良いとされる不飽和脂肪酸が豊富
  • ビタミン類も豊富
  • 柔らかく煮れば骨ごと食べてカルシウム補給にもなる
  • 初心者は焼き魚がおすすめ

犬に魚を与えるメリットについても合わせてどうぞ

さんまをはじめとする「」には犬の健康に有益な栄養素がいっぱいです。

魚が大好き!という犬もたくさんいます。

犬に魚を与えることに興味がある場合、魚を与えるメリットもぜひ参考にしてください。

魚を使ったレシピはこちらもどうぞ

犬に「大根」を食べさせても大丈夫?基本的に問題なし【初心者向け解説】

大根は犬に与えても問題ない野菜の一つです(ただし、甲状腺機能低下症で服薬中の場合は要注意。後ほど解説)。

大根の根の部分には、ほとんど栄養がありません。栄養豊富なのは「」の方です。大根は特性を知って上手に利用することが大切です。

この記事では

  • 大根の部位別栄養素の解説
  • 大根を犬に与えるメリット
  • 与える際の注意点

についてお話しします。

大根の部位別栄養素

大根は部位によって含まれる栄養素が大きく異なります。特性を知って利用するのが賢いやり方です。

大根の「葉」はビタミン類の宝庫

大根の葉には「ビタミンC」「β-カロテン」「カルシウム」が含まれます。

ビタミンC、β-カロテンは共に「抗酸化力」の高い成分。一緒に摂取することで相乗効果が期待できます。

葉は硬いので、与える際は細かく切って炒める、柔らかく茹でるなど犬が消化しやすいよう工夫が必要です。

「根」の部分は「皮」に栄養がある

つい皮を厚く剥きがちな大根ですが、皮には毛細血管を強くすると言われる「ヘスペリジン」が含まれます。

体に良い成分が多く含まれている皮も柔らかく煮るなどして、丸ごと食べるのがおすすめです。

大根を犬に与えるメリット

大根の「」の部分は淡白で、合わせる素材の味や香りが染み込みやすいという特徴があります。

根の部分は水分はほとんどで栄養価としてはあまり高くありませんが、食物繊維が豊富です。

そのため便秘がちな犬の食生活改善に、肉や魚と一緒に炊いた大根を食べさせるのはおすすめです。

野菜があまり好きでない犬でも、肉や魚の味がしみた大根であれば美味しく食べられます。

」の部分はビタミン類が豊富です。

大根は部位によって味が異なる

葉に近いところは甘みがあるので生食に向きます。先端部は辛味が強く、犬の生食には向きません。中間部は辛さも甘さも中間になります。

犬に大根を与える際の注意点

大根を与える際の注意点を2つ紹介します。

大根を生で与えていいの?

生で与えること自体に問題はありません

ただし大根は部位によって辛味が大きき異なる野菜です。辛味が強い先端部は生食には向きません。

また大根は繊維質が多いため、一度に大量に食べると消化不良の原因になります。

手作りごはん初心者の方は、まずは柔らかく煮た大根を少量からスタートするのがおすすめです。

慣れてきたら、サラダ感覚で大根を少量ずつ生で与えることを試してみてください。

甲状腺機能低下症で服薬中の場合は要注意

犬が甲状腺機能低下症で服薬中の場合、大根には注意が必要です。

その場合は事前に、担当獣医師に相談してください。

何故、甲状腺機能低下症の犬は「大根」に気をつけた方が良いか?については「ブロッコリー」の解説記事内の「アブラナ科の植物」の項目で解説しています。

まとめ

  • 犬に大根を与えることは基本的に問題なし
  • 皮に栄養があるので、柔らく調理して皮ごと食べよう
  • 部位によって辛味に差がある
  • 甲状腺の病気を抱える犬は獣医師に要相談

大根を使ったレシピはこちらもどうぞ

犬に「にんじん」を与えても大丈夫?【初心者向け解説】

にんじんは「β-カロテン」を含む緑黄色野菜の代表。甘みが強く、犬も好む野菜です。

にんじんを犬に与えることは問題ありません。加熱してみ、生でも、お好みでどうぞ。

ただしせっかくの栄養を無駄にせず、しっかり吸収するためには調理法にひと工夫欲しいところです。

この記事では

  • にんじんを犬に与えるメリット栄養価の解説
  • にんじんの栄養素をしっかり取り込むための「調理法

についてお話しします。

犬に「にんじん」を与えるメリット

にんじんの鮮やかな色を作っているのはカロテノイドという色素です。にんじんに含まれるのは「β-カロテン」。高い抗酸化力を持つ色素です。

β-カロテンを摂取するメリット

β-カロテン」には抗酸化作用、免疫賦活作用があることが報告されています。

また「β-カロテン」は犬の体内で必要に応じて「ビタミンA」に変換されます。

ビタミンA」は皮膚や粘膜、目の機能を強化するビタミンです。

ビタミンA」はレバー類に多く含まれる脂溶性ビタミンです。そのため、過剰摂取による「過剰症」を手作りごはんを実践する飼い主さんは心配されることが多いようです。

レバーを少々多く食べたからといって、犬が即ビタミンA過剰症に陥ることはまずありませんが「どうしても心配で気になる」という場合は、β-カロテンを多く含む「にんじん」がお勧めです。

β-カロテンは体内で「必要に応じて」ビタミンAに変換されるため、過剰症の心配がないからです。

レバー類と「ビタミンA過剰症」の関係については別記事で詳しく解説しています。気になる方はご参考に。

にんじんの「葉」や「茎」は抗酸化ビタミンの宝庫

にんじんの体に良い栄養素は何も根の部分だけではありません。損をしないためのポイントをしっかり押さえましょう。

葉、茎の部分には抗酸化ビタミンである「ビタミンC」「ビタミンE」が豊富に含まれています。

もし葉付きにんじんを手に入れた場合は、早く気も捨てず、細かく刻んで炒めるなど「犬が消化しやすい」調理法で犬にも是非食べさせてあげてください。

にんじんの栄養素を効率よく取り入れる調理法・注意点

にんじんは料理法を間違えると損をすることがあります。

皮の部分に栄養がたっぷり!

にんじんは「」の部分に抗酸化成分を多く含みます。そのため、皮を厚く剥いてしまうとせっかくの成分を捨ててしまうことに。

皮は薄く剥くか、気にならないのであればそのままで調理します。

油と一緒でビタミンの吸収率UP!

β-カロテン、ビタミンEは油と一緒に調理すると吸収率が上がります。

まとめ

  • にんじんは抗酸化ビタミンを多く含み、犬が食べても安心
  • 栄養素を無駄にしないためにも、調理法には注意が必要
  • 皮は薄くむく、または皮をむかずそのままで
  • 油と一緒に調理すると、脂溶性ビタミンの吸収率がUP

犬に「ブロッコリー」ってあげて良いの?【初心者向け解説】

ブロッコリーはビタミン・ミネラルが豊富な野菜。犬の手作りごはんにもおすすめです。

一方で「ブロッコリーはアブラナ科の野菜なのであげない方がよい」「ブロッコリーにはシュウ酸カルシウムが多いのであげない方がよいのでは?」という疑問を持つ手作りごはん初心者の方もいます。

この記事では、以下のポイントに絞ってブロッコリーについて解説していきます。

  • 犬にブロッコリーを与えるメリット(栄養価の話)
  • アブラナ科の野菜は犬に与えてはいけないは本当か?
  • シュウ酸カルシウムが多いから、ブロッコリーを食べると結石症になる?

犬にブロッコリーを与えるメリット

ブロッコリーの栄養価から「ブロッコリーを犬に与えるメリット」を解説していきます。

三大抗酸化ビタミンで老化防止に

ブロッコリーは「β-カロテン(プロビタミンA)」「ビタミンC」「ビタミンE」の三大抗酸化ビタミンを含みます。

ビタミンには「似た性質を持つものを同時に摂取すると、相乗効果でお互いの働きを高め合う」という特徴があります。

特にブロッコリーの「」は緑色の濃い「」の部分と比べると約3倍のビタミンCを含みます。

」はそのままだと固く食べにくいですが、皮を厚くむいて茹でると柔らかく、甘みも強い部位です

栄養豊富な「」も是非、皮を除きやわらく調理して犬に食べさせてください。

カルシウム、鉄分などのミネラル分も豊富

ブロッコリーには骨の健康維持に大切なカルシウム、貧血防止に役立つ鉄分も含まれています。

食物繊維も豊富、便秘予防に

ブロッコリーには多くの食物繊維が含まれています。食事量が少なく便秘がちな犬は食物繊維を適量摂取することで便秘改善効果が期待できます

アブラナ科の野菜は犬に与えてはいけないの?

ブロッコリーはアブラナ科の植物です。同じグループにキャベツ、大根があります。

ネットで検索すると「犬にアブラナ科の植物はNG」と書かれた記事が多くあります。

「アブラナ科の植物は犬に与えない方がいいと聞いたけど、実際のところどうなの?」

そう疑問に思う方も多いでしょう。これについて解説します。

アブラナ科の植物がなぜ、犬にダメと言われるのか?

アブラナ科の植物には「ゴイトロゲン」という成分が含まれています。

この成分は食物中の「ヨウ素」の体への取り込みを阻害します。

ヨウ素」は「甲状腺ホルモン」を作る材料になります。その材料が不足し、体は必要な甲状腺ホルモンを産生できなくなります

このことが「甲状腺機能低下症」につながる、というのが「アブラナ科の植物は犬に与えてはいけない」と言われる原因としてあげられます。

でもちょっと待って。ブロッコリー以外にもありますよ?ゴイトロゲンを含む野菜。

アブラナ科の植物の代表はブロッコリー!ブロッコリーは「ゴイトロゲン(要素の吸収を妨げ甲状腺腫をおこすものの総称)」を含むからだめ!というのが「あげてはいけない説」の根拠です。

しかしブロッコリー以外の食品にも「ゴイトロゲン」は含まれているのです。

以下、そのリスト。

  • 大豆
  • 亜麻仁油
  • さつまいも
  • いちご
  • なし
  • キャベツ
  • 白菜
  • ほうれん草

食品によって含有量は様々ですが、上記の食品も「ゴイトロゲン」を含みます。

もし「ゴイトロゲン」が少量でも犬や人の体に影響を与え、甲状腺機能低下症を発症させる成分であれば、これらの食品についても当然注意が必要なはずです。

でも実際にはどうでしょう?

さつまいもは市販の犬のおやつの材料に好んでよく使われます。

亜麻仁油も一時期大ブームになりました。体に良いと聞き、犬に与えていました!という方も多いはず。

そうした食品を摂取した結果、どうなったでしょうか?

犬の甲状腺機能低下症は増加したでしょうか?答えは「いいえ」です。

結論:常識量摂取した食品に含まれる「ゴイトロゲン」は問題なし(ただし注意事項あり)

常識的な食事量から摂取した「ゴイトロゲン」が健康な犬の甲状腺機能低下症の原因になることはありません。

実際に食事が原因で甲状腺機能低下症になった事例も存在しません

もし起こすと知ればそれは、高濃度の「ゴイトロゲン」を短期間で摂取させるなど動物実験での話。

犬の手作りごはんの場合、甲状腺機能を低下させるほどの量の「ゴイトロゲン」を食品から摂取するのは無理があります。

結論:健康な犬が常識の範囲内で食べる分には問題なし。

甲状腺の病気を患っている場合は要注意

健康な犬であれば、常識の範囲内でブロッコリーを手作りごはんに使うのは問題ありません。

ただし甲状腺機能低下症で服薬中の場合、問題が起こる可能性があります。該当する場合は必ず担当獣医師へ相談を。

ブロッコリーに含まれる「シュウ酸」が結石症の原因になるのでは?

ブロッコリーに限らず野菜類を犬に与える際、必ずネット記事上で「シュウ酸」について注意するように書かれています。

実際、野菜を食べることが「結石症」の直接の原因になるような、誤解を招く内容も多く見られます。

なのでここでは「結石症」と「シュウ酸」の関係を整理しながら解説します。

犬の「シュウ酸カルシウム結石症」とは?

結石症は腎臓、尿管、膀胱、尿道などに石状のかたまりができる病気です。

シュウ酸カルシウム結石を発症する要因は実はよくわかっていません。遺伝、性別、食事、性ホルモンとの関係などが考えられています。

シュウ酸は野菜に多く含まれる成分で、カルシウムと容易に結合しやすい性質があります。

そのためシュウ酸を多く含む食品とカルシウムを同時摂取すると、腸内で互いに結合し「シュウ酸カルシウム」となります。この場合、できたシュウ酸カルシウムは便として排泄されるため問題は起こりません。

シュウ酸カルシウム結石症が起こりやすい環境

犬に多い結石症に「ストルバイト結石」があります。この治療の一環として「尿を酸性に傾けてストルバイト結石を溶かす」という方法があります。

実は「シュウ酸カルシウム結石」は尿が酸性になるとできやすくなります。

そのため「ストルバイト結石の再発予防の療法食を食べ尿を酸性に傾けていために今度は「シュウ酸カルシウム結石」になってしまっうことがあります。難しいですね。

シュウ酸カルシウム結石症は、単に野菜を食べただけで発症するわけではありません。様々な要因があってのことです。

健康な犬が常識の範囲内で食べる分には問題ありません。

シュウ酸は茹でることで半分以下に減らせる

健康な犬が適量の野菜を食べること自体が、直接犬の「シュウ酸カルシウム結石」の原因になるわけではありません。

一方で、一度シュウ酸カルシウム結石症を患い「予防」のために気をつけたい、という場合は「茹でる」ことがおすすめです。

ほうれん草の場合で、おひたしにするとシュウ酸カルシウムを最大50%程度まで冷えらせることがわかっています(3分間茹でた場合)。

シュウ酸カルシウムが気になる場合、茹でれば減らせる。

結論:ブロッコリーは犬に問題なし

どんな食材にも「大量に摂取すると問題になる可能性がある成分」は含まれます。

ポイントは「どのくらい食べたらそうなるか?」という量の問題です。

量の問題を抜きに「良い・悪い」は言えません。

またその成分が体にどう作用して問題になるのか?という「仕組み」を知らなければ、対応方法がわかりません。

その成分がただ含まれている、というだけで闇雲に特定の食品を怖がったり、避けるのは意味がありません。

どのくらい食べたら危険なの?」「どういう仕組みでその症状は起こるのか?」をきちんと理解した上で判断するのが正解です。

こちらの記事も併せて参考に。本当に危険なものとそうでないものを知ろう。

そもそも、野菜自体犬にあげて良いの?という方はこちら。

犬の手作りごはん栄養学「脂肪酸」【初心者向け】

脂肪酸」は「脂質」の主成分。油脂の中にどのような「脂肪酸」が多いかにより、体に働きかける性質が変わります。

この記事では「脂肪酸」について解説します。

脂肪酸」を理解することで犬の手作りごはんに「どんな油を選べばいいか?」がわかります。以下のポイントに沿って解説します。

  • 飽和脂肪酸
  • 不飽和脂肪酸
  • 必須脂肪酸

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

脂肪酸には「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があります。

飽和脂肪酸

パーム油、やし油、ラード、牛脂などに多く含まれます。常温で固形の油脂に多い脂肪酸です。

種類

  • パルチミン酸
  • ステアリン酸
  • ラウリン酸
  • ミリスチン酸
  • カプリン酸

主な働き

  • コレステロールを増やす
  • 中性脂肪を増やす
  • 血液の粘度をあげる

飽和脂肪酸は上記の働きから「体に悪い」と誤解されがちです。しかし「飽和脂肪酸」の摂取量が少なすぎても、脳出血リスクを高めるなどデメリットがあります。

「飽和脂肪酸」も適度に摂取することが健康維持には必要です。

多価不飽和脂肪酸

オリーブオイル、ごま油などの植物油、魚油に多く含まれる脂肪酸です。

酸化しやすく、劣化しやすいという特徴があります。構造により「n-3系」「n-6系」に分類されます。

n-6系

n-6系にはγ-リノレン酸アラキドン酸リノール酸があります。

犬が手作りごはんで摂取する量が多いのは「リノール酸」です。

リノール酸一般植物油(大豆油、コーン油、ごま油など)に多く含まれる。動脈硬化や高血圧の予防に。摂取しすぎると動脈硬化の原因になる。

n-3系

n-3系にはα-リノレン酸DHAEPAがあります。

【EPA】魚類の油脂(本鮪の脂身、ブリ、ハマチ、さんまなど)に多く含まれる。動脈硬化、高血圧、痴呆の予防、LDL(悪玉)コレステロールの低下

【DHA】魚類の油脂(マイワシ、本鮪の脂身、鯖、ブリ、さんまなど)に多い。抗血栓作用、脳卒中、高血圧、動脈硬化の予防LDL(悪玉)コレステロールの低下アレルギー症状の改善

EPA、DHAはいずれも魚に多く含まれます。

犬に魚を与えるメリットについては以下の記事でも解説しています、ご参照ください。

必須脂肪酸について

体にとって必要な脂肪酸だが体内で合成できないものを「必須脂肪酸」と呼びます。

必須脂肪酸は食事から摂取する必要があります。

犬は「リノール酸」と「α-リノレン酸」を材料に、体内でγ-リノレン酸、アラキドン酸、EPA、DHAを合成できます。

リノール酸」「α-リノレン酸」は食事から適度に摂取する必要があります。

リノール酸植物油に、α-リノレン酸月見草オイル魚類に多く含まれます。

脂肪酸まとめ

  • 脂肪酸にはそれぞれ特徴がある
  • 飽和脂肪酸は動物性油脂に多い
  • 不飽和脂肪酸は植物性油脂、魚油に多い
  • 体で合成できない必須脂肪酸を食事から摂取する必要がある

犬の栄養学を詳しく学びたい方は入門者向けのこちらの無料電子書籍も併せてどうぞ。

犬の手作りごはん栄養学「脂質」【初心者向け】

脂質は効率の良いエネルギー源。細胞膜やホルモンの材料にもなる、体に欠かせない物質です。

この記事を読むことで、脂質について以下のことを理解できるようになります。

  • エネルギー源としての脂質
  • 体の材料としての脂質
  • 脂質を多く含む食品の紹介

1:エネルギー源としての脂質

脂質は1gあたり9kcalと糖質、タンパク質と比べて高カロリーです。

脂質は体動かすエネルギー源として重要です。

例えば犬の「散歩」。

軽度の運動をまとまった時間続ける=有酸素運動です。犬の散歩は有酸素運動。この際、エネルギー源として使われるのが体に蓄えられている「体脂肪」です。

脂質は「高カロリーだから」と避けられる傾向にありますが、体にとっては必要なものです。

犬が元気に散歩を楽しむために、適度な脂質の摂取は必要です。

2:体の材料としての脂質

脂質が体の材料になる、というのは普段あまり意識されません。ここでは脂質が体の構成素として重要な役割を担っていることを解説します。

脂質は皮脂膜の材料になり、皮膚を守る

犬も私たちも皮膚の表面を「皮脂膜」で覆っています。

皮脂膜」は私たちの皮膚の表面から「水分」が蒸発することを防いでいます。この働きにより、私たちの皮膚内では適度な水分が保たれます

もしこの「皮脂膜」が無くなるとどうなるでしょうか?

皮膚の表面からどんどん水分が蒸発し、角質層の乾燥が進みます。

乾燥が進むと皮膚は外部からの刺激を受けやすくなります。外部からの異物も侵入しやすくなります

結果として、肌荒れ、かゆみ、湿疹などの原因となります。

皮脂膜は皮膚から分泌される「皮脂」から作られる「肌のバリア」です。

この「肌のバリア」の原料として、食事から摂取する適度な脂質が必要なのです。

脂質は「皮脂膜」の材料となる。

脂質は細胞を作る「細胞膜」の材料となる

犬も私たちも「細胞」がたくさん集まってできた「多細胞生物」です。

人の体で37兆個の細胞があるとされています。この細胞1つ1つの構成要素として使われているのが「リン脂質」という物質です。

リン脂質」は細胞を包む「細胞膜」を作るのに欠かせない物質です。

私たちの体の細胞37兆個が必要とする「リン脂質」。このリン脂質の材料として「脂質」は必要不可欠です。

細胞は犬・人ともに生命の基本要素です。その基本要素を作るのに不可欠な材料として「脂質」は存在しています。

このことからも脂質は「食事から適量」を取る必要があることがわかります。

脂質は「細胞膜」の材料になる。適度な摂取が必要。

脂質はホルモンの材料となる

私たち体内では様々な「ホルモン」が働いて体の機能を調整しています。

その中でも「ステロイドホルモン」と呼ばれるグループは、脂質を材料とする「ステロール類」から作られます。

ステロイドホルモンの代表は「副腎皮質ホルモン」。

このホルモンは「炎症の抑制」「糖質の代謝」「免疫反応」など様々な役割を担っています。

脂質は大切な「ホルモンの材料」になる。

3:脂質を多く含む食品

脂質は以下の食品に多く含まれます。

  • 油脂類(オリーブオイル、バターなど)
  • 肉類
  • 魚類

犬の手作りごはんにおすすめで、脂質を適度に含む食品については下記を参照してください。

脂質は犬の体に必要なものですが、一度に大量に脂質を摂取することは「急性膵炎」の原因になります。

これについては下記の記事も併せて参照してください。

脂質の性質を決めるのは「脂肪酸」です。脂肪酸の特徴を知ることで、犬の健康に最適な油脂の選び方がわかります。

脂肪酸については以下の記事で詳しく解説しています。

犬の手作りごはんにおすすめ「鯖(サバ)」【初心者向け】

鯖は「青魚」の代表格。犬の手作り食にも使える魚です。

この記事では

  • 鯖の栄養価
  • 犬の手作りごはんに鯖を利用するメリット
  • 利用時の注意点

を解説します。

鯖の栄養価

タンパク質、不飽和脂肪酸DHA、EPA)、ビタミンD、ビタミンB2、ナイアシン、鉄、タウリンを豊富に含みます。

可食部100gあたりのカロリーは202kcalです。

犬の手作りごはんに鯖を利用するメリット

鯖は良質のタンパク源

血管の健康を保ち、血栓を防止する「EPA」「DHA」を豊富に含みます。

犬の体に良い成分でもある「EPA」「DHA」をもれなく摂取するためには脂をできるだけ落とさない調理法を選択する必要があります。

EPA、DHAについては「脂肪酸」の記事内で詳しく解説しています。併せてご参考に。

煮魚にする場合は汁ごと食べる、焼き魚にする場合は網で油を落とすのではなくフライパンで焼き、脂ごと食べさせるなど。

鉄分も豊富で貧血予防に最適です。

利用時の注意点

鯖は水分が多く、傷みが早い魚です。できるだけ新鮮なものを購入し、早目に調理します。

選ぶポイント:ツヤ、ハリのあるものを選びます。腹に金色の筋が入っているものが新鮮な証拠です。選ぶ際の参考に。

鯖を使った犬の手作りごはんレシピを公開しています。ご参考に。

犬の手作りごはんレシピ「鯖とキャベツのトマト煮込み」【初心者向け】

青魚「」とキャベツトマト缶を使ったお手軽煮込みレシピです。

圧力鍋で加圧10分、通常の鍋だとキャベツが柔らくなるまで煮込みます。基本、鍋に入れて待つだけです。簡単。

レシピ栄養青魚を犬に与えるメリットについてこの記事では紹介します。

簡単な作り方、犬が実際に食べている様子は動画にもまとめてあります。ご一緒にどうぞ。

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犬の手作りごはんにおすすめ野菜「トマト」の解説【初心者向け】

赤くて丸くて美味しそうなトマト。見ているだけで元気になる緑黄色野菜、トマト。

強い抗酸化力を持つ成分を豊富に含むトマト。犬の身体の酸化を防ぐのにおすすめの野菜です。

この記事では:

  • トマトの栄養価
  • おすすめの利用方法

について解説します。

トマトは抗酸化成分を含む

トマトの主な栄養素はβ-カロテン、ビタミンC、カリウム、リコピン

リコピンは最強の抗酸化作用を持つ

トマトの赤味色素である「リコピン」は抗酸化力が高い成分。その強さはβ-カロテンの2倍、ビタミンEの100倍と言われています。

リコピンは加工されてもそのまま失われることなく残ります。犬の手作りごはんに「トマトの水煮缶」を使ってもリコピンを摂取できます。

手作りごはん初心者におすすめの「利用法」

初心者の方は「トマトの水煮缶」がおすすめ。使いやすくカットしてあり通年利用できます。

トマトは基本夏野菜。夏以外の時期でも利用できる「トマトの水煮缶」は便利です。カット済みなので調理の手間も省けます。

トマトが旬の時期はでの利用も可能。

トマトを皮ごと与えると、皮は消化されずに便に出てきます。

このことで「消化が悪いのではないか?」と心配される方もいますが、問題ありません。気になる場合はトマトの皮をあらかじめ剥いて与えましょう。

初心者におすすめのレシピ

  • トマト缶と野菜、肉を一緒に煮込む「トマト煮込み」
  • 生のトマトをそのまま、ご飯のトッピングとして
  • トマトと卵、ひき肉とスープ仕立てに

まとめ

  • トマトは抗酸化力に優れた成分が豊富。
  • 犬の健康のために是非食べさせたい野菜。
  • 初心者はトマトの水煮缶が利用しやすい。
  • 慣れてきたら生で与えても良い。皮が気になる場合は取り除く

こちらも合わせて参考にどうぞ

犬に野菜ってあげていいの?与えてダメなものではないですよ。詳しい理由と解説【初心者向け】

犬の手作りごはんにおすすめ野菜「キャベツ」の解説。胃粘膜の保護に【初心者向け】

柔らかい春キャベツ、肉厚な冬キャベツなど「キャベツ」は1年を通して美味しくいただける野菜です。

実はこのキャベツ、犬の手作りごはんにもとても使える優秀野菜

胃の粘膜を保護する「ビタミンU(キャベジン)」を含む、胃腸に優しい野菜でもあります。

この記事を読むことでわかること:

  • 犬の手作りごはんにキャベツを利用するメリット
  • 注意点
  • キャベツの栄養価

以下、解説記事。

犬の手作りごはんにキャベツを利用するメリット

キャベツは通年手に入る手頃な野菜です。ビタミン類、食物繊維が豊富

栄養価が高く、細かく刻む、柔らかく煮込むことで手作り食が初めての犬でも受け入れやすい野菜です。

また、野菜に慣れ犬であれば生のままでも美味しくいただけます

生で、炒めて、煮込んでと調理のバリエーションが豊富なこともキャベツの魅力です。

利用時の注意点

キャベツの外側にある硬い葉は、犬のお腹に合わない場合もあります

スーパーではよく、箱が用意されていて外側の緑色が濃い硬い葉をお客さんが剥いて柔らかい中身だけを購入できるようにしてありますよね。

外側の硬い葉は、ジャキジャキしていてあまり美味しくはありません。人が食べても美味しいと感じられる柔らかい部分が犬にもおすすすめです

豊富なビタミン類

キャベツの栄養素の特徴は豊富なビタミン類です。

ビタミンC

抗酸化ビタミンとして有名。体内でタンパク質からコラーゲンを合成する際にも必要。水溶性に水に溶けやすい。

ビタミンK

出血を止めるのに欠かせない「止血ビタミン」。骨を丈夫にする働きもあります。脂溶性。

ビタミンU(ビタミン様物質:キャベジン)

成分名「キャベジン」は胃腸薬としても有名な製品名にもなっています。あのキャベジンです。

ビタミンUは正確に言えば「ビタミン様物質」に分類されます。ビタミンではないが、ビタミンに近い働きをする成分です。

ビタミンUは胃酸の分泌を抑制し、胃や十二指腸粘膜の新陳代謝を促し修復する働きを持ちます。

初心者は煮込み料理がおすすめ

犬の手作り食初心者はキャベツは加熱し、柔らかくした「煮込み」がお勧めです。

ビタミンC、Uは水溶性。水に溶け出す性質があるため、煮込みにして汁ごと犬に与えると栄養の損失が防げます。

生で与える場合も、水にさらすのは短時間にとどめます。

まとめ

  • キャベツはビタミン類と食物繊維が多く犬にもおすすめ
  • 固い外側の皮は避ける
  • 初心者は煮込みがおすすめ
  • 煮汁こと食べる料理が向く
  • ビタミンUは胃粘膜の保護に役立つ。胃腸の調子が悪い犬に

こちらも合わせてご参考に:

犬に野菜ってあげていいの?与えてダメなものではないですよ。詳しい理由と解説【初心者向け】