犬の手作りごはんを始めるにあたり。きちんと栄養バランスがとれた食事を用意できるか?と不安に思う人も多いはず。
そこでこの記事では最低限押さえておきたい「5つの栄養素」について解説します。この記事を読むことで、あなたは犬の手作りごはんに必要な「5つの栄養素」についてマスターできます。
栄養学は実はシンプル「五大栄養素」をマスターしよう
栄養学を必要以上に難しく考える必要はありません。なぜなら、私たち人間も学校の家庭科で少しだけ栄養について習っただけで、何となく栄養について知っているからです。そうした何となく、のレベルでも実際、結構うまくやっていけているのではないでしょうか?
糖質はエネルギーになる、タンパク質は体を作る。こうした簡単な知識があれば特に難しい専門知識がなくても、多くの人は自宅で料理をしています。それを食べて健康に生きている人の方が世の中には圧倒的に多いです。
犬の手作りごはんも同じに考えてみてください。もちろん犬と人は違います。なので犬に食べさせてはいけない食物についてはきちんと把握して、それを使用しないなどの配慮は必要です。
食べさせてはいけないものについてはこちらの記事で詳しく解説していますのでご参考に:犬の手作りごはん「食べさせてはいけないもの10のリスト」【初心者向け】
実は人と犬が必要とする栄養素は、ほぼ同じです。栄養素にはたくさんの種類がありますが、その中で特に多く必要で、1日必要量や詳しい働きがわかっているものを「五大栄養素」と呼びます。手作りごはんを作るにあたり、まず理解しておきたいのはこの「五大栄養素」です。
基本の五大栄養素を知ることで、栄養のアウトラインが見えてきます。栄養について不安を持っている人は、まず栄養を「知る」ところから始めましょう。
五大栄養素とは?
以下の5つの栄養素を指します。
一つ一つ見ていきましょう。
糖質
糖質より、炭水化物という言葉に馴染みがある方もいるかもしれません。これは「糖質」+「食物繊維」をまとめた言葉です。体内でエネルギーになるのは主に「糖質」の方なので、ここでは糖質について解説します。
糖質は消化吸収されやすく、体内に吸収されると速やかにエネルギーに変換されます。犬のエネルギー源として主になるものです。
特に脳はエネルギーのほとんどを糖質に依存しています。このため、糖質が不足すると脳の機能が低下してしまいます。
糖質から速やかにエネルギーを取り出すことは、疲労回復にもつながります。糖質不足は体がだるい、疲労感が取れないなど体の不調につながるので注意が必要です。
犬は肉食動物なので、エネルギー源として糖質は不要、との記述が時々見られますがこれは間違いです。
犬は雑食動物です。肉以外の食物にもよく適応します。糖質も問題なく消化・吸収し、エネルギーとして利用できます。
過剰摂取は肥満、虫歯につながりますが適量を摂取することは犬にとっても大切です。
糖質を体内でエネルギーに変えるには「ビタミンB1」が必須です。ビタミンB1が不足すると、糖質をうまくエネルギーに変えることができず、疲れの原因となります。
ビタミンB1は精製していない穀類の外皮、豚肉に多く含まれます。
体をよく動かす犬の食事には、糖質とビタミンB1をセットにしてメニューを組むと、疲労回復に役立ちます。
【糖質を多く含む食べ物】ごはん・パスタ・うどん・じゃがいも
脂質
脂質はエネルギーになる他、細胞膜、ホルモン、脳や神経を作る材料にもなります。
脂質は体の中で合成できないため、必ず食事から摂取する必要のある「必須脂肪酸」の供給源になります。
また、ビタミンの中には、油に溶ける性質のある「脂溶性ビタミン(A・D・E・K)」があります。これらのビタミンは脂質と摂取すると、体内での吸収率が上がります。
脂質は健康な皮膚を維持するにも重要です。犬の皮膚を覆う皮脂膜も脂質から作られます。
脂質はエネルギー値が高く、過剰摂取すると肥満につながるため敬遠されがちです。しかしながら、犬の体を健康に保つ上でも脂質は大切です。肉・魚・油脂類などから適量を摂取しましょう。
【脂質を多く含む食べ物】肉の脂身・オリーブオイルなどの油脂類・魚油
タンパク質
タンパク質はエネルギーになると同時に、体を作る材料として必須です。健康な体を維持してい久野に大切なものです。
タンパク質が不足すると、体の新陳代謝が低下します。免疫を支える抗体や免疫細胞もタンパク質でできているため、タンパク質不足は免疫低下にもつながります。
タンパク質を構成するのは「アミノ酸」と呼ばれる物質です。アミノ酸は様々な食物に含まれていますが、中には体の中で作ることができないので「必ず食事から摂取する必要があるアミノ酸」が存在します。これを「必須アミノ酸」と呼びます。
犬の必須アミノ酸は10種類あります:
アルギニン、ヒスチジン、イソロイシン、バリン、ロイシン、メチオニン、スレオニン、リジン、トリプトファン、フェニルアラニン
必須アミノ酸をバランスよく摂取したい場合は肉・魚・大豆製品を食べるのがおすすめです。
【タンパク質を多く含む食品】肉・魚・大豆製品・乳製品
ビタミン
ビタミンは三大栄養素がエネルギーに変わるのを助けたり、体の中で行われる様々な代謝反応を助けます。
必要な量はわずかですが、体の中で作れないもの、作れたとしてもごくわずかなものなため、食事から摂取する必要があります。
極端に不足すると「欠乏症」、過剰に摂取すると「過剰症」が起こります。
手作り食ではこの「欠乏症」「過剰症」について心配する方が多いですが、バランスの良い手作りごはんメニューを食べている限り、過剰も不足も起こりません。
欠乏症は、ささみだけを食べて3ヶ月、というような「極端な食生活」をしない限り起こりません。過剰症も、ビタミンのサプリメントを誤って犬が大量に飲み込んだような場合に心配されるようなことです。
バランスの良い手作り食の作り方:材料の比率については手作りごはんとは?(作る場合の注意点・作り方を簡単に解説)【超初心者向け】で解説しています。
●ビタミンには「脂溶性」「水溶性」がある
「脂溶性ビタミン」は油に溶ける性質があります。脂溶性ビタミンは「ビタミンA・D・E・K」です。油と一緒に摂取することで吸収率が高まります。油に溶ける性質を利用して、体内に備蓄が可能です。その場合は多くが「肝臓」に貯蔵されます。
「水溶性ビタミン」は水に溶ける性質を持ち、一度に多く摂っても不要な分は「尿」として排泄されます。そのため体内に貯めておくことはできません。毎日の食事から摂取する必要があります。水溶性ビタミンは「ビタミンB群・C」です。
*現在は多くのビタミンが成分名で呼ばれます。
水溶性ビタミンのビタミンCは、茹でると煮汁に溶け出します。そのため、調理は短時間で済ませる、または汁ごと食べるメニューにすると栄養の損失を少なく抑えられます。
ビタミンCは抗酸化力の高い「ビタミンA・E」と組み合わせることで、相乗効果が期待できます。
ミネラル
ミネラルミネラルは「骨や体など体の構成成分になるもの体を作る」「体内の代謝活動を調整するもの」があります。
体に含まれる量によって「主要ミネラル」「微量ミネラル」に分けられます。
まとめ
以上が五大栄養素です。
これらの栄養素は、「肉・魚類」「ごはんなどの糖質」「野菜」を偏りなく手作り食メニューに組み込むことで無理なく摂取できます。
私たちが普段、わざわざ栄養計算をせずに食事を作り、健康で生活できているように、犬も色々なものを偏りなく食べることで必要な栄養を摂ることができます。
基本を知った上で、難しく考え過ぎずに作って行くことが大切です。