ミネラル

ナトリウム | 犬の手作りごはん栄養学

ナトリウムカリウムと一緒に体内の水分量を調整する。犬も生きていく上で塩分は必要です。

ナトリウムは犬に必要なミネラル

犬に塩分は不要!という誤った理解がされることがあります。犬にも塩分は必要です。

塩分はナトリウムと塩素が結合したもの。ナトリウム塩と呼ばれます。犬の体の中にも塩分は存在しており、体内の水分調整を担っています。

犬の手作りごはんでは過剰摂取の心配はない

ナトリウムは魚介類に多く含まれます。肉類にも含まれるため、生鮮食品でこれらを摂取していれば、犬も自然にナトリウムを摂取していることになります。

犬の塩分要求量は人間ほど多くはありませんが、やはり生きていくためには必要です。

味付けなしの手作りごはんの場合、塩分が過剰になることはありません。むしろ低塩分なため、犬の1日の要求量を満たしていないのでは?という指摘もあります。

手作りごはん初心者の方が犬のご飯に味付けをする必要はありません。一方で、魚介類なども上手に取り入れて、犬が必要とする塩分を十分摂取出来る配慮も必要です。

多く含まれる食品

魚介類に多く含まれています。鮭、サバ、イワシなど犬の手作りごはんに使える魚をメニューに組み込むのがおすすめです。

カリウム | 犬の手作りごはん栄養学

過剰なナトリウムを排泄し、体内のpHバランスを維持する。

過剰な塩分を排泄し、高血圧を防ぐ

カリウムナトリウムと共に体液の構成成分として働きます。カリウムとナトリウムのバランスで、細胞の浸透圧とpHが正常に維持されます。

カリウムには体内の余分な塩分を排泄する働きもあります。これにより血圧上昇を防ぎ、高血圧の予防になります。

不足すると

血雨圧が高くなる。筋肉へのエネルギー補給が不足する。

過剰症

過剰摂取分は尿へと排泄されます。通常の食生活でカリウムの過剰症になる心配はありません。

栄養素を最大限に引き出す調理のコツ

カリウムは調理による損失が大きい栄養素です。

野菜、果物で生食可能な場合はで食べる方が、効率よく摂取できます。

煮ると約30%が消失します。スープにして汁ごと食べる調理がおすすめです。

多く含まれる食材

カリウムは新鮮な野菜、イモ類、果物類に多く含まれます。植物性の食材に多いミネラルです。

リン | 犬の手作りごはん栄養学

リンはカルシウムと並んで、骨と歯を作る重要な成分。エネルギー代謝にも関与する。

リンは体内で2つの大きな役割を担う

リンカルシウムについで多く体内に含まれるミネラルです。約85%がカルシウムと結合し、骨や歯を形成します。

約15%の多くはタンパク質と結合しリン脂質として細胞膜の材料になる、核酸の成分になるなどしています。

リンの摂取はバランスが大事

リンはカルシウムと一緒に骨や歯を作っています。リンとカルシウムのを同程度に取ることで、カルシウムの吸収率が最適になり、骨を丈夫にすると言われています。

リンはエネルギーを生み出すのに大切な成分

犬も人間も、体内でエネルギーを生み出す手段として「ATP(アデノシン三リン酸)」という物質を利用しています。

これはアデノシンという物質にリン酸が3つ結合したものです。これが分解され、リン酸結合が外れる際、高いエネルギーを生み出します。

ATPは生物にとってはエネルギーの通貨のようなもの。ATPのおかげで私たちは効率よくエネルギーを貯蔵し、必要に応じて利用できます。

リンはそのATPの構成物質となる大切なものです。

不足すると

歯や骨が脆くなる。エネルギー不足になる

過剰症

腎機能低下。カルシウムが骨から血液中に放出され、骨量の減少につながる可能性がある。

人間の場合、加工食品でリンを多く取りすぎる傾向が指摘されますが、犬の場合は加工食品を食べるわけではありません。生鮮食品から作る手作りごはんではリンの過剰摂取の心配はありません。

多く含む食材

魚介類、肉類、乳製品、豆製品など幅広い食材に含まれます。

特に乳製品に含まれるリンはカルシウムとのバランスが良いとされています。

100gあたりの比較では「煮干し」に多くのリンが含まれます(1,500mg)。犬用のおやつとして煮干しが売られている場合もあります。こうした製品の利用もおすすめです。

カルシウム| 犬の手作りごはん栄養学

丈夫なを作るミネラル。筋肉、神経の働きを助けます。吸収率があまり高くないことでも知られます。

犬は人よりカルシウムの要求量が高く、体重1kgあたりの比較で人の24倍必要です。

カルシウムについて理解し、手作りごはんでは効率よく摂取する必要があります。

骨はカルシウムの貯蔵庫

カルシウム=骨、というイメージが強いですが、カルシウムは骨を作る以外にも、細胞間の情報伝達に使われるなど様々な役割を担っています。

骨は体を支える役割以外に、神経伝達物質のように体で使われるカルシウムの貯蔵庫としての役割も担っています。

体内でカルシウムが不足すると、骨のカルシウムが溶け出し使われます。

カルシウムの約99%が骨と歯に存在しています。

骨は代謝している

骨は皮膚と同じように代謝を繰り返し、古くなった骨は壊され、新しい骨が作られることで入れ替わっています。

この活発な骨代謝を支えるために、適度なカルシウムを食事の中から摂取することが必要です。

カルシウムは神経伝達・筋肉収縮・血液凝固を支える

骨以外のカルシウムは主に血液中に溶け込んでいます。

神経の興奮を抑える、筋肉収縮、血液凝固にも関わり体内の多様な生理・代謝を支えています。

不足すると

犬の成長期にカルシウムが不足すると骨や歯の形成障害が起こります。慢性的な不足は骨をもろくします

過剰症

通常の食事で過剰になる心配はありません。サプリメントの誤食などで大量に摂取した場合、高カルシウム血症を起こし嘔吐、下痢などが起こります。

栄養素を最大限に引き出す調理のポイント

カルシウムは食品ごとに吸収率が異なります牛乳、乳製品での吸収率が高く約40〜50%(人の場合)、次が小魚、青菜類は低く人間で約18%です。

乳製品からの摂取がもっとも効率が良く、ビタミンDと一緒に摂取することで、腸管内のカルシウム吸収率が上がります

多く含む食材

干しエビ、煮干し、乳製品、高野豆腐、プロセスチーズ、牛乳に多く含まれます。

イワシは丸ごと煮ると良いカルシウム源になる

丸ごと食べられる小魚の中でも、骨まで柔らく煮たイワシは特にオススメです。ビタミンD含有量が高く、カルシウムの吸収率を高めてくれます。