タンパク質

犬の手作りご飯「タンパク質足りてる?」| 初心者向け

Office Guriの諸橋直子です。日本アニマルウェルネス協会認定「ホリスティックケア・カウンセラー」、愛玩動物飼養管理士2級の有資格者です。

犬の手作りご飯歴15年になります。

さて犬の手作りご飯初心者の方の中には
「素人の手作りごはんで、犬に必要なタンパク質をちゃんと賄えているんだろうか?」
と不安を感じる方が、結構な数いらっしゃいます。

そこで今回の記事では「手作りごはんでタンパク質が足りているかどうか?をどこで判断すればいい?」をテーマに解説していきます。

「食事からタンパク質は、どのくらいの量を与えれば問題ないのか」についても基本の考え方を解説していくので、参考にしてください。

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タンパク質 | 犬の手作りごはん栄養学

タンパク質は体を作るのに欠かせない栄養素です。健康な皮膚、被毛、爪を作るのに欠かせません。

酵素抗体などの材料にもなります。

タンパク質の基本構成は「アミノ酸」

タンパク質は体を作る主成分、エネルギー源にもなり1gあたり4kcalの熱量を持ちます。

タンパク質を構成する成分は「アミノ酸」と呼ばれます。生物界には20種類のアミノ酸があります。

このうち、体では合成できない、または合成できても僅かなため、必ず食事から摂取する必要のあるものを「必須アミノ酸」と呼びます。

必須アミノ酸の種類は動物によって違います。人は9種類、犬は10種類です。以下に犬の必須アミノ酸を挙げます。

犬の必須アミノ酸

  • アルギニン
  • ヒスチジン
  • イソロイシン
  • バリン
  • ロイシン
  • メチオニン
  • スレオニン
  • リジン
  • トリプトファン
  • フェニルアラニン

良質のたんぱく質は「必須アミノ酸」をバランスよく含む

食物に含まれる必須アミノ酸のバランスが良いと、体内で消化・吸収された際に効率よく利用することができます。

逆に、人の10種類のアミノ酸のうち、9種類をバランスよく含んでいても、1種類のみ含有量が低いアミノ酸があるだけで、全体の利用効率がその「含有量が低いアミノ酸」に引っ張られる、ということです。

これは必須アミノ酸のバランスが悪い体内で効率よく利用することができないことを意味します。

そのため、犬の手作りごはんを考える場合、アミノ酸バランスが良いたんぱく質=良質のタンパク源を選ぶことが大切です。

参考:アミノ酸スコア

たんぱく質の「」を示す指標に「アミノ酸スコア」があります。これは人の必須アミノ酸がその食品にバランスよく含まれているか?を示す指標です

の必須アミノ酸をバランスよく、必要量を満たしているものを「100」とします。満たしていない食品の場合、数値が低くなります

アミノ酸スコア100の食品例:

  • 牛乳
  • 鶏卵
  • 納豆
  • 豚肉
  • 鶏肉
  • 牛肉

犬の必須アミノ酸は「人:9種類+アルギニン」です。

そのため、犬のために良質のたんぱく源を選ぶ際は、「アミノ酸スコア」も参考になります。アミノ酸スコアが高い食品は、犬にとってもアミノ酸バランスが優れている場合がほとんどです。

良質のタンパク源を犬に選びたい場合は、上記の食材リストを参考にしてください。

アミノ酸バランスが悪い食材について

アミノ酸バランスが悪い食材についても、他の食品と食べ合わせることでバランスを満たせます。

食材の価値はアミノ酸のバランスのみで決まるものではないので、あまり神経質にならないよう、おおらかに捉えることも大事です。

例えば「白米」はアミノ酸スコアが「65」と低く、「リジン」というアミノ酸の含まれる量が少ないため、それが全体のアミノ酸利用効率を下げています

納豆は「リジン」を多く含みます。犬に納豆ご飯を食べさせている飼い主さんは多くいますが、これは白米のアミノ酸バランスの不足を補うとても良い食べ方です。

今回はたんぱく質を例にとり、そのアミノ酸バランスの視点で解説していますが「様々な食材を偏りなく食べる」ことは、たんぱく質に限らず、他の栄養素の不足も補える、最も栄養の偏りリスクを避ける食べ方です。

犬の手作りごはんも、様々な食材を偏りなく食べることで必要な栄養素を摂取できます。

これは手作りごはんを考える上で大切なポイントなので、ぜひ覚えておいてください。

たんぱく質の消化・吸収

んぱく質はたくさんのアミノ酸がつながってできています。このアミノ酸同士の結合が消化によって断ち切られ、アミノ酸1〜2個がつながった程度まで分解されます。そこで初めて小腸から体内に吸収されます。

たんぱく質は体のパーツを構成する

アミノ酸は体内に吸収されてのち、必要に応じて毛、爪、被毛、筋肉臓器などに作りかえられます。

たんぱく質は酵素、免疫抗体、神経伝達物質、ホルモンの材料になる

体の中で様々な反応が行われる際に必要な「酵素」、体を異物や病原体から守る「免疫抗体」もたんぱく質を材料としています。

神経伝達物質」や体の生理機能を調整する「ホルモン」もたんぱく質を材料とします。

たんぱく質は脂質と異なり、余剰分を体内に備蓄することが基本的にできません。そのため、食事から適度に摂取することが大切です。

たんぱく質の欠乏は体のトラブルに直結する

食事からエネルギー源となる糖質や脂質が極端に不足すると、体は体内のたんぱく質を「」に変え、利用しようとします。

これを「糖新生(とうしんせい)」と呼びます。

極端な糖質制限や脂質制限は、かえって体の筋肉などのたんぱく質を減らしトラブルの元になるため注意が必要です。

詳しくは「糖質」の項目も合わせて参考にしてください。