脂質は効率の良いエネルギー源。細胞膜やホルモンの材料にもなる、体に欠かせない物質です。
この記事を読むことで、脂質について以下のことを理解できるようになります。
- エネルギー源としての脂質
- 体の材料としての脂質
- 脂質を多く含む食品の紹介
1:エネルギー源としての脂質
脂質は1gあたり9kcalと糖質、タンパク質と比べて高カロリーです。
脂質は体動かすエネルギー源として重要です。
例えば犬の「散歩」。
軽度の運動をまとまった時間続ける=有酸素運動です。犬の散歩は有酸素運動。この際、エネルギー源として使われるのが体に蓄えられている「体脂肪」です。
脂質は「高カロリーだから」と避けられる傾向にありますが、体にとっては必要なものです。
犬が元気に散歩を楽しむために、適度な脂質の摂取は必要です。
2:体の材料としての脂質
脂質が体の材料になる、というのは普段あまり意識されません。ここでは脂質が体の構成素として重要な役割を担っていることを解説します。
脂質は皮脂膜の材料になり、皮膚を守る
犬も私たちも皮膚の表面を「皮脂膜」で覆っています。
「皮脂膜」は私たちの皮膚の表面から「水分」が蒸発することを防いでいます。この働きにより、私たちの皮膚内では適度な水分が保たれます。
もしこの「皮脂膜」が無くなるとどうなるでしょうか?
皮膚の表面からどんどん水分が蒸発し、角質層の乾燥が進みます。
乾燥が進むと皮膚は外部からの刺激を受けやすくなります。外部からの異物も侵入しやすくなります。
結果として、肌荒れ、かゆみ、湿疹などの原因となります。
皮脂膜は皮膚から分泌される「皮脂」から作られる「肌のバリア」です。
この「肌のバリア」の原料として、食事から摂取する適度な脂質が必要なのです。
脂質は「皮脂膜」の材料となる。
脂質は細胞を作る「細胞膜」の材料となる
犬も私たちも「細胞」がたくさん集まってできた「多細胞生物」です。
人の体で37兆個の細胞があるとされています。この細胞1つ1つの構成要素として使われているのが「リン脂質」という物質です。
「リン脂質」は細胞を包む「細胞膜」を作るのに欠かせない物質です。
私たちの体の細胞37兆個が必要とする「リン脂質」。このリン脂質の材料として「脂質」は必要不可欠です。
細胞は犬・人ともに生命の基本要素です。その基本要素を作るのに不可欠な材料として「脂質」は存在しています。
このことからも脂質は「食事から適量」を取る必要があることがわかります。
脂質は「細胞膜」の材料になる。適度な摂取が必要。
脂質はホルモンの材料となる
私たち体内では様々な「ホルモン」が働いて体の機能を調整しています。
その中でも「ステロイドホルモン」と呼ばれるグループは、脂質を材料とする「ステロール類」から作られます。
ステロイドホルモンの代表は「副腎皮質ホルモン」。
このホルモンは「炎症の抑制」「糖質の代謝」「免疫反応」など様々な役割を担っています。
脂質は大切な「ホルモンの材料」になる。
3:脂質を多く含む食品
脂質は以下の食品に多く含まれます。
- 油脂類(オリーブオイル、バターなど)
- 肉類
- 魚類
犬の手作りごはんにおすすめで、脂質を適度に含む食品については下記を参照してください。
脂質は犬の体に必要なものですが、一度に大量に脂質を摂取することは「急性膵炎」の原因になります。
これについては下記の記事も併せて参照してください。
脂質の性質を決めるのは「脂肪酸」です。脂肪酸の特徴を知ることで、犬の健康に最適な油脂の選び方がわかります。
脂肪酸については以下の記事で詳しく解説しています。