老犬の手作りごはん | 手羽元でかんたん参鶏湯(サムゲタン)

犬の管理栄養士アドバンスによる「犬の手作りごはん」レシピ+解説記事。


来月16歳を迎える我が家の老犬に、薬膳の視点を取り入れた「簡易版・参鶏湯(サムゲタン)」を作りました。その様子を動画でご紹介しています。

参鶏湯(サムゲタン)どんな料理?

参鶏湯は韓国料理のひとつでです。『夏バテ』に良いとされるメニュー。

本来は中身を抜いた丸鶏に、高麗人参なナツメ、くるみなどを入れ、さらにもち米を詰め、長時間煮込んだスープを指します。本格的に作ろうとすると手間もかかり、材料も複雑です。

一方で、参鶏湯は滋養があり、胃腸に優しく何よりおいしい!と人気のメニュー。だったらもっと手軽に楽しみたいよね、ということで少し調べてみると「簡易版・参鶏湯」のレシピがたくさんあります。

やっぱり、美味しくて体に良さそうなメニューは、普段のごはんで手軽に食べたいですからね。

私自身、参鶏湯は「お粥」というスタイルで時々作っては、食べています。個人的には大切だと思うことは、以下の2点:

  • 骨付きの鶏肉を使うこと
  • 骨の出汁を、もち米にしっかりしみこませること

出汁がしっかるとしみこんだお米の味は格別です。もち米と鶏のコラーゲン成分が一体となり、とろりとした食感になるのも良い。

老犬のための「参鶏湯」を作ってみた

そんな美味しい、滋味あふれる参鶏湯ですが、こうしてみていくと、実に老犬にぴったりなメニューです。

  • 適度なとろみがあり、老犬がたべやすい
  • 煮込むことで材料が柔らかくなり、消化が良い

特に我が家のもうじき16歳になる老犬は、消化能力は、若いときより確実に落ちていると感じます。

*消化能力の衰えについては、こちらの記事に書きましたので、興味のある方はご参考に。

消化不良防止の意味で、肉類は食べごたえを残しつつ、程よい柔らかさが大切。

そういう点で、今回の参鶏湯は「圧力鍋」を使用しています。そうすることで、手羽元の軟骨部分も柔らかくなり、安心して食べさせることができます。

*軟骨以外の骨は、必ず外して与えます。

老犬のための「かんたん参鶏湯(サムゲタン)」 | 材料と作り方

体重25kg大型犬2匹×2回分

  • 手羽元:8本
  • もちごめ:1/2合
  • 大和芋(あれば):適量
  • 生姜スライス:1枚
  • すりごま、ごま油適量(仕上げに少量加える)
  • 海苔(あれば、のせるのもおすすめ)
  • 水500cc

*犬のごはんメニューは犬の管理栄養士アドバンスが専門知識に基づき作成しています。

作り方
  1. 手羽元を鍋に並べる
  2. もち米と生姜スライスを「1」の上に乗せ、水を注ぐ
  3. 圧力鍋高圧で15分加圧後、自然放置
  4. 圧が下がったら、手羽元を取り出し、骨を取りのぞく
  5. 鶏肉を鍋に戻す
  6. 犬に食べさせる前に、ごま油少量とすりごまをのせる

圧力鍋を使わない場合は、水を600ccに増やし、もち米が粥状になるまで煮込む。

薬膳の視点でみても、老犬にぴったりな「参鶏湯」

今回のメニュー「薬膳」の視点を取り入れて作成しています。

薬膳」は中国古典医学で

  • 健康維持
  • 病気の治療、予防

に用いられる、特別な食事を指します(辰巳洋, 中医薬膳学,2015)。

「薬膳」が大切に考えていること

私が参考にしている書籍『中医薬膳学 』によれば、中国古典医学、以下中医学では以下のことを重んじています。

  • いちばん大事な目的は「健康と長寿」
  • 医者は普段の生活において、治療より予防を中心としなければならない
  • 健康を守るために、個人個人が自己管理し、病気にかからないよう努力する

私個人としては「健康を守るために、個人個人が自己管理する」という点に深く共感します。

適切な食事や運動、適度な休息を取ることなどは、すべて自己管理の範囲内ですよね。

自己管理、ということはいいかえると健康に関しては、ある程度は自分の努力でコントロールできる、ということでもあります。

もう一つ、中医学ではそれぞれの年齢、体質、その時々のコンディションなど、個々の体の状態に合わせて食事を選ぶ、または治療をほどこすことを大切に考えます。

これはまさに、今回この記事で書いているような

我が家の老犬のためには、柔らかく煮込んだ鶏肉ともち米の参鶏湯が、胃腸にやさしくて良い

といったアレンジです。

参鶏湯を薬膳の視点で見ていくと、鶏肉は消化器の働きを助け、健やかに保つ、もち米と大和芋は滋養強壮に良い食材とされています。

栄養学的に見ても、鶏肉はタンパク源として優秀。アミノ酸スコアも高いです。たっぷりの水分を加えて煮込んだもち米は、スムーズに消化、吸収され犬のエネルギー源となります。

体のあちこちに加齢の影響が出てくる老犬には、まさにぴったりなのが「参鶏湯」なのです。

薬膳を通して『食の知識』が豊富になれば、老犬の食事も豊かになる

食事を美味しく食べられる、というのは犬にとって大切なこと。その美味しい食事が、さらに犬の健康を助ける強力な手段となれば、そんなに良いことはありません。

そんなわけで、老犬を家族に持つ飼い主さんで興味のある方には、ぜひ『犬のための薬膳』を知っていただければ幸いです。

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