肝臓病の犬の手作りごはんの注意点、栄養素についての解説記事です。
肝臓病の犬のための手作りごはんを考える場合、はじめに「犬の肝臓病とはどういうものか?」への理解が不可欠です。
肝臓とは?
犬の肝臓は体内最大の臓器です。
肝臓の主な働き
- 栄養の代謝
- 有害物質の解毒
- 胆汁の分泌
肝機能が低下すると、栄養素の代謝が行われなくなる、毒素が排泄できないなど様々な障害が現れます。
犬の肝臓疾患で代表的なのは「急性肝炎」「慢性肝炎」です。肝炎が長引くと、肝臓組織に「繊維化」が起こり、これが進行すると「肝硬変」になります。
「肝硬変」が進行すると「肝不全」に陥ります。
急性肝不全
突然、何らかの理由で肝機能を正常に維持できなくなった状態を指します。
肝臓は毒物の代謝と排泄を担うため、ダメージを受けてもある程度もちこたえるだけの予備能力に優れた臓器です。通常、正常な肝臓組織が20%以上あれば、肝機能を維持することができるとされています。
そのため、症状が出てくる場合、肝臓の80%以上がダメージを受けていることになります。これは非常に深刻な状態です。
肝臓はこうした性質から「症状が出にくい沈黙の臓器」と呼ばれます。
肝臓疾患の早期発見には、定期的な血液検査で肝臓の状態をチェックすることが大切です。
慢性肝臓病
慢性的な肝細胞障害、慢性炎症によって起こる病気の総称です。
慢性肝炎の原因はウイルス、遺伝的要因など様々です。
ウイルス性の場合は薬物療法が行われます。
原因を除去できない場合は生涯に渡り治療が必要です。早期発見、早期投薬開始で肝炎の進行を遅らせ、良い状態を長く保つことも可能です。
獣医師の指示に従って、適切な投薬を受けることが大切です。
血液検査の肝機能チェック項目
血液検査で肝機能をチェックする際は以下の項目をみます。
- AST(GOT):酵素
- ALT(GPT):酵素
- γ-GTP:酵素
- 総蛋白
肝細胞は多様な代謝活動を行うため、細胞内に「酵素」を持ちます。
肝炎などで肝細胞が破壊されると、それらの酵素が血液中に漏れ出してくるため、数値が上がり肝臓の異常発見に役立ちます。
また肝臓はたんぱく質合成にも関与するため、異常があると血液中のたんぱく質も減少します。
肝臓病の手作りごはん | ポイント
- 良質のたんぱく質を摂取
- 脂質は控えめに
- 便秘防止に適度な食物繊維を
- バランスよく、偏りなく!
- 食べ過ぎに注意
初期の肝臓病の場合、普通の食事を取りながら薬などで進行をコントロールし、肝臓の修復・回復を待つのが基本です。
良質のたんぱく質とは、体内で利用しやすい「アミノ酸バランスが取れた、たんぱく質を含む食材」のことです。
詳しくはこちらの記事「タンパク質 | 犬の手作りごはん栄養学」で解説しています。より深く勉強したい方は参考にしてください。
良質のたんぱく質 | おすすめ食材
肝細胞再生のために、材料となる質の良いたんぱく質を取りましょう。
卵、大豆製品、脂肪分の少ない赤身肉、白身魚などが適しています。
便秘防止 | 食物繊維の摂取
肝臓への負担を減らすために、便秘防止も重要です。適度な食物繊維の摂取は犬の便秘防止にもおすすめです。
犬に与えても問題ない野菜類をはじめ、穀類、豆類、芋類なども手作りごはんに適しています。
「犬に野菜を与えても大丈夫?」と心配な方は、こちらの記事も参考にしてください。