Last Updated on 2025年12月2日 by Office Guri
「冬」になると犬の「膀胱炎」での受診が多くなることをご存知でしょうか?実は冬は膀胱炎の発症が増える要素がいっぱいです。
そこで今回は犬の膀胱炎におすすめの手作りごはんレシピをご紹介します。
すでに発症してしまった子の自宅療養時に、または膀胱炎を予防したいという飼い主さんどちらにもご活用いただけるメニューです。旨味の強いタラと冬に旬を迎えるカリフラワーを使用した手軽なスープごはんです。
膀胱炎の予防に。カリフラワーで作る「白い野菜とタラ(鱈)のスープ」
【注意】本レシピは獣医療行為に代わるものではありません。すでに膀胱炎を発症している、または症状が疑われる場合は、必ず獣医師の診察を受けてください。

この記事の作成者:Office Guri 諸橋直子
SAE認定犬の管理栄養士アドバンス、JADP認定上級ペット看護士。
手作りごはん歴19年。犬の手作りごはん、アロマテラピー、薬膳など家庭でできる愛犬のケア普及のため活動しています。各種オンライン講座開講中。特に人気の犬の薬膳講座は受講者数250名を超える。犬の手作りごはんの専門Youtubeチャンネル(登録者数4,120名)運営中。
冬に犬の膀胱炎が増える理由を知って対策しよう「水を飲む量が少なくなる」「トイレの回数が減る」
レシピご紹介の前に、そもそもなぜ冬に犬の膀胱犬が増えるのか?を解説します。この仕組みを理解しておくと、犬の膀胱炎予防に役立ちます。食事からのケアに加えて生活習慣から見直すことが予防につながります。大事な知識なのでぜひ知っておいていただければ幸いです。
では冬になると犬の生活習慣の何が変わるのでしょうか?ポイントは以下の2点です。
- 水を飲む量が少なくなる
- トイレの回数が減る
冬に膀胱炎が増える理由1:水を飲む量が少なくなる
夏には暑さで水をたくさん飲んでいた犬も、冬になると飲む量が減ります。
犬は人間と違って「疲れたから休憩にちょっとお茶でも」という感覚で、水分を摂取することはありません。「喉が渇いたら飲む」が基本です。そのため気温が下がってから意識して犬に水を飲ませようと思うと、ただ水を与えるだけでは難しいのが現状です。
水は犬や人間にとって健康を守る上で欠かせないものですが「1日の必要量を十分摂れているか?」は、意識しないとできていない場合もあるのです。
健康な犬が1日に必要とする水分量は体重1kgあたり40〜60mlといわれます。これは活動量や気温によって変化します。体重20kgの犬で1日800ml〜1,200mlの計算になります。
ところで私たち犬も人間も飲み物だけで水分を摂取しているわけではない点に注意が必要です。食事にも当然水分は含まれています。
人間の場合、1日に必要とされる水分2,500ml中、1,000ml程度を食事から摂取しています。例えば炊いたごはん100gあたりに含まれる水分量は60gです。そのため私たちは食事をしながら水を食べていると言えます。
他方犬たちはどうでしょうか?
これはどのような食事を飼い主さんが選択しているかによって変わります。犬の食事として一般的なドライフードは水分量が10%以下に制限されています。ソフトドライまたはセミモイストフードで25〜35%、ウェット缶で75%程度です(*)。
この数字からわかるようにドライフードを食べている子の場合、食事からの水分摂取量は少なめです。その分意識して犬に水分を摂ってもらう工夫が必要になります。
*参考:一般社団法人ペットフード協会「ペットフードの種類」
https://petfood.or.jp/knowledge/kind/
冬に膀胱炎が増える理由2:トイレの回数が減る
水を飲む量が減るとトイレの回数が減ります。外トイレが習慣の犬の場合、寒くなると暖かい時期と比べてトイレに行くのを億劫がるケースもあります。これが膀胱炎を起こしやすい環境につながります。
ところで「トイレの回数が減ることが、なぜ膀胱炎の発症につながるの?」と疑問に思う方も多いと思うのでその点を解説します。
実は尿そのものに殺菌作用があります。
その殺菌作用を持つ尿を排泄することは、膀胱や尿道を尿で洗浄するのと同じです。おしっこの回数が多くたっぷりの尿を排泄することで、犬は膀胱と尿道をきれいに保っているんですね。
それが回数が減り尿量自体も減ると、膀胱を空っぽにし尿道を洗う機会が減ります。結果として感染症である膀胱炎を起こしやすくなってしまうのです。
膀胱炎で動物病院を受診した際に「おしっこをたくさん出してください」とアドバイスされた経験はないでしょうか?
これはおしっこをたくさん出すことで、膀胱内や尿道をきれいにする効果を狙ったものです。おしっこをたくさん出すには水分摂取が必須です。でも犬は水を飲んでねと言葉で言っても飲んでくれるわけではありません。
それであれば水分をたっぷり含んだ食事メニューに切り替え、ごはんを食べながら無理なく水分を摂取できるよう工夫すると水分摂取量を増やせます。
そこで登場するのが、今回ご紹介する「タラとカリフラワーのスープ」です。
秋から冬が旬!膀胱炎の予防に。カリフラワーで作る「白い野菜とタラ(鱈)のスープ」
材料
【大型犬(体重20〜25kg)2匹分】2回分の分量です
- たら:3切(320g)
- じゃがいも:2個(230g)
- カリフラワー:1/4個(250g)
- オリーブオイル:大さじ1
- 水:400cc
- フリッジ、うどんなどの主食:適量
作り方
- じゃがいもの皮をむき、賽の目に切る。
- カリフラワーをざく切りにする。
- 鍋にオリーブオイルを熱し、じゃがいもとカリフラワーを加えて炒める。油が全体に回ったら水を加えて煮込む。
- タラは骨を取り、食べやすい大きさに切って鍋に加える。
- 全体に火が通るまで5〜7分煮る。
- フリッジ、うどんなどの主食を茹で、冷ましておく。
- 主食に冷ましたスープと具材をかけて犬に与える。仕上げに豆乳を加えても良い。
*レシピは犬の管理栄養士が、専門知識に基づき作成しています。
タラを犬に与えるメリット
タラは低脂肪高タンパクでヘルシーな白身魚です。

強い旨みがあるため、食べると満足感を得やすいです。身が柔らかく消化しやすいため、老犬や食欲が今ひとつな犬にもおすすめです。ダイエットでカロリーを減らしたい犬にも適しています。冬に旬を迎えるので、寒い季節の犬のスープごはんにぴったりです。
カリフラワーの栄養素、抗酸化作用のあるビタミンC、葉酸が豊富
ブロッコリーの親戚?と言われるカリフラワー。実際にブロッコリーの仲間です。花蕾が白く、ギュッと身が詰まっている点が特徴です。
抗酸化作用のあるビタミンCを多く含みます。ビタミンCは水溶性ビタミンなので、水に溶ける性質があります。そのため加熱は短時間でさっと、またはスープにしてビタミンCが溶け込んだ汁ごと食べられるメニューが適しています。
葉酸はビタミンB群の一種で赤血球の形成に関わり、細胞分裂を助けます。犬の体内で補酵素として様々な代謝に関わります。
利尿作用もあるカリウムも豊富です。この点、膀胱炎予防のための排尿を促すのにぴったりな食材だといえるでしょう。
冬の膀胱炎予防のために、食事の水分量を意識してみよう
犬の手作りごはんを実践する飼い主さんで「栄養バランスが気になる」「適切なカロリーは?」という方は多いです。しかしながら「1日に犬がどのくらい水を必要とするか?」については、考えがあまり及ばないという方は結構いらっしゃいます。
実はきちんとした栄養学の本を読むといわゆる「五大栄養素」とよばれる身体に必要な栄養素と同等に、「水も大事な栄養素です」という記載が必ずあります。これはある意味当然のことで、なぜなら水は私たち人間、そして犬の生命維持に欠かせないものだからです。
それなのになぜ、私たち飼い主は犬の飲水量に、カロリーやタンパク質ほど注意を払わないのでしょうか。
その原因の一つに「水は十分飲めるよう、用意してあるし自由に飲めるのだから犬は必要な量を自分で決めて、十分飲んでいるはず」という思い込みがあります。
確かに手作りごはんは飼い主が材料を選び、必要な栄養バランスを考えてそれらがきちんと入るようレシピを組まなければなりません。それと比べると水は用意してあるのだから、喉が渇けば自分で飲むよね?と私たちはどこかで思っている節があります。
たしかにそうなのですが、「健康維持と病気予防」の視点で考えた場合、水分にも気を配る必要があります。
今回のように「犬の冬の膀胱炎を予防したい」という目的がはっきりしている場合、犬の自発的な飲水行動の他に「食事から無理なく水分摂取を行う」ための工夫が必要です。犬が水を飲む量が減る寒い時期こそ、水分たっぷりのスープごはんで十分な水分摂取を心がけましょう。
犬の手作りごはんは『基本』をしっかり学んでから
手作りごはんを始める前に、『食べさせてはいけないもの』『作り方』などの基本事項を学びましょう。Office Guriでは手作りごはん初心者向けに、電子版ガイドブックを無料配布しています。
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犬の手作りごはんレシピと作り方をYoutubeで公開しています。チャンネル登録はこちらから。




