犬の管理栄養士アドバンスによる手作りごはんレシピ。今回はとろみがあって老犬にも食べやすい「紫花豆とかぼちゃのポタージュ」をご紹介します。
1品で食事になる、具だくさんポタージュ
老犬もハイシニア(一般的に14歳以降の犬を指すことが多い)に入ると老化が進み、食欲や消化能力の衰えを感じるケースが出てきます。
以前は問題なく消化できていた大きさの肉野菜を吐き戻す、便がゆるいなどの症状が気になる場合、まずは動物病院を受診しましょう。病気による不調なのか、老化によるものかをはっきりさせることが大切です。
病気ではなく、老化現象によるものと診断された場合は、犬に合わせて食事も「消化がよく、食べやすいもの」に変えていく必要があります。
そこでおすすめなのが「具だくさんのポタージュ」。
材料を柔らかく煮込み、消化がしやすいよう整えられたポタージュは老犬におすすめ。適度なとろみもついているので、老犬にも食べやすいのが特徴です。
「ごはん、肉、野菜」をバランスよく、の思い込みを捨ててみよう
人間の食事でも「ごはん、肉、野菜をバランスよくしっかり食べよう!」と言われた経験はありませんか?
食欲があり、元気に食べられるときであれば問題無いこの組み合わせも、歳を取って食欲が減退しているときには苦しいもの。
「体のために、無理をしてでもバランスよく食べなきゃ」と追い込まれては、食事が苦痛になってしまいます。
そこで一旦「食事はこうあるべき」という思い込みを捨ててみてはどうでしょうか?
ごはん=「糖質」です。「糖質」は体を動かすエネルギー源になるもの。かぼちゃやジャガイモは野菜類に分類されることが多いのですが、中身を見れば甘みあり、ほくほくとした食感を生み出す「糖質」をたっぷり含んでいます。
「糖質」は絶対に「ごはんやパスタ」などの、いわゆる「炭水化物系」で摂らなくてはいけないという決まりはありません。
糖質を「かぼちゃやジャガイモ」で摂取する。かぼちゃには豊富な食物繊維とビタミン類が含まれます。一つの食材で多くの栄養素が一度に取れるため、食欲の落ちた老犬には大きなメリットがあります。
セロリ、ひき肉を加えて「食べるポタージュ」に
かぼちゃをベースにセロリ(野菜)、ひき肉(タンパク源)を加えることでバランスが整います。
最後に「紫花豆」を加えます。
紫花豆
豆類をここでは以下の2つに大きく分けて考えます
- タンパク質が多く固め→大豆
- 糖質が多く、ホクホク→インゲン豆の仲間(花豆や手亡)
花豆には白花豆と、赤い色素を持つ「紫花豆」などがあります。植物の持つ色素は抗酸化作用など、私たち体に良い影響を与える可能性があり「第七の栄養素」として注目されます。
「紫花豆」はあらかじめ、柔らかく煮ておきます。
材料と作り方
材料
25kg未満の大型犬2匹分×1回分
- かぼちゃ:1/8個
- セロリ:1/2本
- 豚挽肉:100g
- 紫花豆(茹でたもの):100g
- 水:200cc
- オリーブオイル:適量
作り方
オリーブオイルで刻んだセロリを炒め、5mmの薄さにカットしたかぼちゃを、「ねっとり」するまで丁寧に炒める。
豚挽肉を炒め、火が通ったら水と紫花豆を加えて15分間煮る。
老犬の食事は「とろみ」も大切
具だくさんポタージュの良いところは1品でしっかりした食事になる栄養バランスと、老犬の「食事の食べやすさ」を左右する「とろみ」がしっかり付くところ。
誤嚥事故を防ぐためにも適度な「とろみ」は重要です。