犬の管理栄養士:Office Guriの諸橋直子です。今回は「老犬の食事と健康」をテーマにお届けします。
老犬の食事と健康で抑えておきたいポイントは色々とあるのですが、簡単にまとめると以下の通りです。
- 老犬期とはどのようなものか?を知る
- 老犬期に起こりやすい病気の知識をざっとでいいので持つ
- 老犬期を健康に過ごすためのライフスタイルについて知る
- 食事面で配慮すべき事柄を抑える
特に病気についての基礎知識はあると無いとでは、老犬と暮らす上での安心感が違います。そのため飼い主さんはざっとっでいいので、老犬期に多くなる病気について知っておくのがおすすめです。
病気について知っておくと、予防対策も早くから始められますし、何より初期の段階で「これはもしかして?」と気付けるのが大きいですね。
老犬期の病気は、早期発見できればその後、長い期間を健康に快適に過ごせるものも多くあります。
なので、飼い主さんの知識が多いに越したことはないのです。
そして、病気の知識と合わせて重要なのが「食事の知識」です。
食事の工夫が病気の要因を減らす場合もあるので、今回はそれについてお話しします。
体を酸化から守る:「活性酸素」の話
私たちヒトも犬も、呼吸をして生命を維持しています。もう少し突っ込んでいうと、呼吸で取り入れた酸素を使い、食事から取り入れた「糖質」を燃やしてエネルギーに変えています。
これは生きていく上で欠かせない活動なのですが、同時にある「副産物」を生み出します。
それはなにか?というと
活性酸素
という物資です。
では、この活性酸素とは一体どういうものなのでしょうか?少し詳しく見ていきます。
活性酸素は体を「守り」、「傷つける」諸刃の刃
活性酸素は体を病原体などから守る際、活躍する物質です。そういう意味では体を守る物質、と言えるでしょう。
一方で、活性酸素は私たちの細胞のDNAを傷つける場合があります。
DNAは細胞が分裂する際、正しく親細胞と同じ娘細胞を複製するための情報が書き込まれています。ところが、このDNAが傷つくことで正常でない細胞が作られる場合があります。
正常で無い細胞、と聞いて「あ!」と思う方もいらっしゃると思いますが、がん細胞というのはこんな風にDNAが傷つくことで生まれることもあるのです。
もちろん、活性酸素で傷つけられたDNAを持つ細胞がすべて、がん化するわけではありません。細胞には傷付いたDNAを自動修復する機能が備わっています。また、変異した細胞に自死を促すシステムもあるため、滅多なことでは異常な細胞が簡単に増殖することはありません。
それでもやはり、活性酸素の攻撃によるDNAの損傷はがん発生の1つの原因と考えられています。
活性酸素は「悪」なのか?
という風に書くと「じゃあ活性酸素って悪なの??」と心配になる方もいると思いますが、そうではありません。
すでに述べたように、私たちの体に病原体が侵入した際、それを攻撃するのに活性酸素は活躍します。
大事なのはバランスです。ほどほどの量の活性酸素が私たちの体を守るために働いてくれるのがいいのであって、多すぎるとDNAを傷つける、ということです。
このバランスを取るには2つの方法があります。1つは体の中で、活性酸素を除去するシステムに働いてもらうこと。
もうひとつは、食事からこの活性酸素を除去するのに役立つ成分を摂取することです。
「食事からそんな成分が摂取できるんですか??」
「それはどんな食事、食べ物なんですか?」
そういう方のために次回の記事で、体の酸化を防ぐ成分とそれを多く含む食物についてお話します。
ちなみにすごく特殊な食べ物でも何でもありません。ごく普通の、日常的な食材です。
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