「心臓病の愛犬の健康を考えて、体に良いと言われている納豆を与えています。ところが先日、友人から『人の場合は心臓病だと納豆を与えてはいけないんだよ?あなたの犬は大丈夫?』と聞かれました。犬の場合も良くないのでしょうか?」
「ワーファリン」服用中の場合は注意が必要
心臓病の中には血栓ができやすいタイプのものがあります。
血栓とは血管の中で血液が固まること。この固まりが血流に乗って移動した先で血管を詰まらせてしまうことがあります。
脳に飛べば脳梗塞、肺に飛んで肺の動脈を詰まらせてしまうと肺血栓塞栓症になります。肺血栓塞栓症は「エコノミークラス症候群」としても有名です。
いずれも命に関わる危険なものです。そのため、心臓病の治療の一環として血栓予防の薬が処方されることがあります。それが「ワーファリン」です。
ワーファリンの働き
ワーファリンはビタミンKの働きを抑えて血液を固まりにくくし、血栓ができるのを防ぐ薬です。
ビタミンKは、血液凝固に関わっています。ビタミンKの働きのおかげで、私たちは出血しても速やかに血を止めることができます。ビタミンKが不足すると、怪我をした際などに血が止まりにくくなり、危険です。
ビタミンKは健康な状態であれば、必要に応じて出血を止めてくれる大切なものです。しかしながら、体が病気で血栓ができやすい状態の場合、血を固める働きは害になる場合があります。これがワーファリンが処方される理由です。
ビタミンKについては下記の記事でも解説しているので、興味のある方は参考にしてください。
納豆は「ビタミンK」が豊富
納豆はビタミンKが豊富な食材です。そのため、納豆を食べることでワーファリンの効果が薄められてしまいます。
「心臓病の人や犬は納豆を食べてはいけない」を正確に表すのであれば「心臓病でワーファリンを服用中の人や犬は、薬の効果を薄めてしまうので納豆を食べてはいけない」となります。
ワーファリンを服用中の場合は、納豆を避けましょう。
病気の治療中は「手作りごはん」について、必ず獣医師に相談を
手作りごはんは多くのペットオーナーが実践していますが、世の中的にはまだ一般的ではありません。
そのため、獣医師に「我が家の犬は手作りごはんを食べている」と普段から伝えておかないと、あなたの担当獣医師は「この犬はペットフードだけを食べているもの」と考えます。
そのため、ワーファリンを処方されても特に食べ物で気をつけるべきことについて、アドバイスがされない場合も考えられます。
心臓病の犬の飼い主さんは必ず以下のことを獣医師に伝えましょう。
- 我が家の犬は手作りご飯であること
- 病気を抱える犬が、食事の上で気をつけるべきことを知りたい
あなたの普段の「獣医師とのコミュニケーション」と「良い信頼関係」が、犬の健康を守っていく上で必須です。
犬の食事について、獣医師に必要な情報を伝え、犬の健康を守るための情報を飼い主さん自身が獣医師から引き出せることが大切です。
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